京のいけず日記

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2004年10月06日(水) 通勤絵日記 不愉快な乗客 

黒衣の歳三さん通勤電車 今日も
いろんな人が乗り込んでくる。

時には目の保養をしたり コラコラ
微笑ましかったり、感心したり。

だけど 時どき 眉をひそめるような人と遭遇する。

酔っ払いのおじさん。
長い足が邪魔なのか
通路を占領して座る男の子。
化粧室と間違えている女の子。

何やら別の世界へ イッている
怪しげな おばさん 私だ

でも このあいだ
もっと 不愉快にさせられた。

 ↑ もしも歳三さんがその場にいたら…の落書き

夕方のホーム。乗り継ぎの駅で、停車中の電車に座り発車を待っていると、
喪服に身を包んだ、おばちゃんの二人連れがにぎやかに乗り込んできた。

そして私の隣にどすんと座った。

葬式帰りとは思えない、にぎやかさ。大きな声。言いたい放題の話題。

人が聞いてるとは思わないんだろうか…。

いいかげんにお喋りやめないかなぁ、と思っていたら、

片方のおばちゃんが、それと分かる紙袋の中から粗供養の箱を取り出し、しげしげと挨拶状を眺めている。

喪主が誰だったか確かめたんだろう。二人でぺちゃくちゃ。
ええかげん、人んちの噂話はやめてくれ。それも亡くなった家の話。

早く電車、動かないかな…。
噂話が聞きなれて雑音になり始めた頃、突然、ビリビリという音がした。

あちゃ。
先に粗供養の箱を取りだしたおばちゃんが、包み紙を破いた音だった。

「お茶やね」

「なら、ええわ。ハンカチとかやったら、あんなん家で使われへんしな」

もう一人のおばちゃんも頷きながら、箱まで開けて確かめている。


家まで待てんのかい。
いや。ハンカチうんぬん…の話はよく分かるが…。

(母の葬儀の時。租供養を何にするかとか、通夜の料理をどうするか…。
 租供養一つ、母ならどんなものを選んだら喜ぶだろう。
 みんな悲しいのに家族でこんなことを相談してた。おかしいねえ)


唖然としたのは、そのあとだった。

おばちゃんは、要らなくなった灰色の包み紙をガサガサと丸め、
さっさとホームのゴミ箱へ捨てに行ったのだ。

噂話までは相身互いと思っていた。
包み紙を開けた時には失笑ですんだ。

だけど。ゴミ箱に捨てられた瞬間、猛烈に嫌な気分が襲ってきた。

故人がどんな人だか知らないけれど、
たった今捨てられてしまった…。そう思った。

せめて、手に提げている紙袋におさめて、家まで持って帰れないのか。
駅のゴミ箱などに捨てるな。馬鹿野郎。


…義理で人は送りたくないなぁ。皆さん、黒衣の時には気をつけましょう。

人は見てます。


Sako