京のいけず日記

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2004年10月23日(土) 35年目の同窓会(歳さん含めすべて仮名です)

今日は卒業して以来、35年目の小学校の同窓会。にぎやかなのが苦手で、仕事でもない限り人が集まるところは尻込みしてしまう。やっぱり断ろうと思って、幹事さんに電話をしたら

「さっちゃん」
と懐かしい声(実際はオバチャン声)で呼ばれた。
その一声でGOサイン。自我に逃げ込む前の幼い私や、皆に会いたくて。

《石田村小学校のユーレイ同窓会 会場より》


「お。ありゃ、歳三じゃねえか」
「おお。あの村を出て行った女たらしのバラガキか」
もしも石田村の同窓会に出席したら…
「ほんと。歳さんだわ。ねー何年振りかしら」
「顔もスタイルも変わってないわねえ」

「相変わらずキザな野郎だぜ」
「あの顔で何人も人を斬りまくったとか…」
「信じらンねえな。あの優しい歳さんがよぉ」
「で。あいつ、今何やってんだ?」
「何…って。田吾作。
歳三は死んじまったんじゃねえかよ」
「んだべ。おら達も死んじまっただー♪」

「土方くんって、まだ独身かしら?」
「ね。お琴さんって可愛い人いたじゃない?」
「いつの話よ。京では娘が生まれたとか…」

「え〜。嘘ぉ。歳さんって○○じゃなかったの?」
「あの鬼瓦…?それとも銀や、八十八と?」
「じょ、冗談はよし子さん♪」
「ね。彼、こっち見てるよ。ブスッと。渋いわねぇ〜♪」

おーい。歳さん。歳。一緒に飲もうよ。元気か?何してるんだ?
(…だから死んでるって。俺はノーマルだ。言いたい事言いやがって。皆まとめて切腹しな)


面影はあるものの、みんな見事におっさん、おばさん。家族の話に仕事の話。悩み多き、責任世代の40代。話す内容も、みんな老けたなぁ…。

それでもこういう場所へ出てこられるのは、元来のにぎやか好きか、それなりに幸せか、人に打ち明けられる生活を送っているからだろう。

ひとしきり人当てクイズで盛り上がった後は、この場にいない人のことに話が咲く。噂話。みんな自分勝手だ。だけど冷やかし半分、他人の不幸は蜜の味的な噂話のように、不思議に嫌な気がしない。

懐かしく思い出すのは、いい子ちゃんばかりじゃない。頭のわるい子(私)。泣き虫(私)。気が弱い子(私)。だらしない子(私だー)。先生に反抗ばかりしてた子(ある意味、私も入るかも…。)

オブラートに包んでしまう前のそれぞれの個性。いろんな子がいたっけ。


あいつ、どうしているかなぁ。

前の席に座ったおっさんが呟いた。
「あいつって?」「あー○○クン。会いたいねえ。どうしてるんだろ?」

「あいつ」は、多分、こういう場所へは一生来ない。

小学生のくせにタバコ吸って、シンナーやって、やたら尖ってた不良少年。あんたのことやで、ヤッさん。中学ん時に、うちんちに煙草買いにきたやん。ほんで、うちが店番してて、あん時、煙草を売ってしもたんやろか。うちは、きっと泣きそうな顔してたんちゃうか。ヤッさん。今はちゃんと大人してるか? ちゃんとヨレヨレのオッサンになったか?

夕方。某駅からタクシーで会場へ向かう時。タクの運ちゃんが、
「今、新潟でごっつう地震が起こっとるで」と教えてくれた。

台風、地震…。相次で起きる自然災害に身震いする。心が痛む。
その一方で、大惨事が起こっている同じ日本、同じ時間帯に、オシャレして夜の繁華街へ出て行く自分がいる…。

何も出来ない自分がいて、何もしない自分がいる。明日は我が身。誰にも変わることは出来ないけれど。…何だろな。これでいいのか。いつまでも。


Sako