TOM's Diary
DiaryINDEX|前日のDiary|翌日のDiary
2008年03月12日(水) |
S氏UFOに襲われる?その1 |
S氏が目を覚ますと妙に室内が明るかった。 いや、目は覚めたがまぶたは閉じたままだ。 それでも室内の明るさを感じる。
なんだろう?
静けさが明るさを強調しているようにも感じる。 そういえばこんなに静かなことは珍しい。 この静けさといい、明るさといい、いつもの自分の寝室とは思えない雰囲気である。
S氏は身じろぎせずに、この雰囲気を全身で感じていた。 まるで、その原因を探すかのように。
ふと気がついたことがある。 静かだと思ったのは間違いだった。 なにかのノイズのような音が鳴り続けている。 拡声器のボリュームを最大に上げたときに聞こえてくるあのノイズだ。 普段聞こえてくる時計の秒針が動く音や遠くから聞こえてくるかすかな自動車の音など、日常聞こえてくる様々な小さな音がこのノイズにかき消されているようだ。
不意に、天井の隅の方から「パチン」と言う音が聞こえた。 一瞬の間をおいて再び「パチン」と音が聞こえる。 さらに「パチン」「パチン」・・・ 音の発生源は空中を移動しているようだ。 室内で何かが移動しているように感じる。 移動の最中に静電気を放出して「パチン」と音を立てているように思える。
移動している物体は部屋の中をぐるりと回ってS氏に近づいてきた。
物体はS氏の膝の上に停まった。 非常に小さな物体で直径5mmくらいだろうか。 激しく回転しているようだ。 ノイズの原因はこの回転運動のせいだろうか。 明るいのはこの物体が輝いているせいだろうか。
まぶたを閉じているS氏にはわからない。 小型のUFO?
膝に非常に違和感を感じる。 S氏はその物体を払いのけようとした。 しかし、身体が動かない。 まるで金縛りにあったかのようだ。
S氏はとても焦った。 早く物体を払いのけたい。 できることならこの物体を捕獲したい。 しかし身体はどこも思い通りに動かない。 呼吸が激しくなり、動機もする。 叫び声を上げたくなるが声も出ない。
と、突然、身体が動いた。 勢いでS氏はベットの上で起き上がっていた。
いつもどおりの朝の日差しに、いつもどおりの鳥のさえずり。 普段となにも変わらない朝がそこにはあった。
さっきの物体はなんだったのだろう? そういえば、もう1時間も前のことのような気がする。 とても夢とは思えないリアリティもあった。
「変な夢をみたものだ」
S氏はそう考え、いつもどおりに朝の身支度を整え始めたのだった。 S氏に大変な悪夢をもたらすはずの超小型の装置が埋め込まれたことに気が付かぬままに・・・
つづく
S氏シリーズをもっと読みたい方は、DiaryINDEXをクリックして”S氏”と入力して検索してください。
|