【読書】りかさん

りかさん  梨木香歩著  新潮文庫

感想:
 おばあちゃんに、「リカちゃん」が欲しいとおねだりしたところ、贈られてきたのは、「りか」という名前の日本人形だった。これは違う・・・と思っていたけれど、実は「りかさん」は不思議な力を持つ人形で・・・、というところから始まる、不可思議だけれど、ほっとするお話です。
 前に、『からくりからくさ』という本の感想を書きましたが、この作品は『からくりからくさ』の登場人物が子供の頃のお話です。

 とにかく、含蓄が溢れていて、心がふつふつと沸き上がような状況が沢山出てきます。時には恐ろしかったり、悲しかったり、やるせなかったりするのですけれども、物語全体を包み込んでいる優しい空気感が、ちくちくする部分をふわりと一撫でしている感じです。

 作中に、お人形についておばあちゃんがお話しする場面があります。
 その場面を読むと、思わずお人形さんが欲しくなっちゃうのですね。

 登場人物達が交わす会話の歯切れの良さや、ふっと出てくる簡潔な状況描写や、その人の横に自分がいるかのように錯覚してしまうほどの心理描写など、素晴らしいことを、さらりとやってのける技量は、ただただ感心するしかありません。
 読んでいて、日本語って本当に綺麗な言葉だなぁって思わせてくれる言葉遣いも健在です。
 そして、読了後に、ほうっと息をついて、しみじみと読後の余韻に浸っているときの幸福感は、絶品です。

 荒っぽい言葉が蔓延している中で、さらさらと流れる小川のような爽やかさに浸ってみるのも、またおつなものだと思います。

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2003年07月10日(木)

日々 / いけだ