【読書】死者の代弁者

死者の代弁者  オースン・スコット・カード著  塚本淳二訳  ハヤカワ文庫

感想:
 『エンダーのゲーム』の続編、でいながらにして、前作とは違ったテイストで書き上げられた傑作。

 私は、他人との関わりを持つとき、以下のようにして、自分の取るべきスタンスを決めています。
 ・その人は、自分へ危害を加えないのか?
 ・その人は、自分へ何らかを与えてくれるのか?
 ・その人は、自分と価値観を共有できるのか?
 ・その人は、自分を愛しんでくれるのか?
 始めの一行で、その他人が「敵」かどうかを見極め、
 次の一行で、「仲間」かどうか見極め、
 その次の一行は、「友人」かどうか見極めます。
 そして最後の一行を満たしたとき、その人は、「隣を歩む人」となります。
 もっとも、もう少し複雑な体系がありますが、単純化すればこんな感じです。

 相手が、同じ文化を持つ「ヒト」であるのなら、その人の行動によって、上記のどれに当たるのかは、ある程度容易に決められます。しかし、異なる文化を持つ生物が相手の場合、物事は、そう簡単には進まなくなります。
 その相手が普通に行う行動、ヒトで言う、呼吸をするような行動が、自分にとってはとても不快なことであるとするなら、そして、そのことが、相手にとっては、ごく自然なことであることを理解していないなら、相手は「敵」となってしまいます。
 それを回避する方法は、ただ一つ、「相手を理解すること」に他ならないです。

 主人公であるエンダーは、「死者の代弁者」という役割から、あらゆる物事の真相を暴き立てます。それは、当事者達にとっては、苦痛であり、悲劇です。
 しかし、真相のもたらすものは、最終的には、理解と解放なのです。
 間違った理解によって、発生しないはずだった憎悪や因縁に捕らわれてしまった人の鎖を外し、本来歩むべき道を踏み外してしまった人をもとの道へと導き出す、そんな力が真実にはある、そう、思います。
 そして、その真実が、多くの人に知ってもらいたいと願って書き上げられるもの、それこそが「物語」であるのではないかと感じました。
 力のある物語は、万人に理解され、共感を得るものである、そうあって欲しいです。

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2003年07月16日(水)

日々 / いけだ