オトナの恋愛考
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ここ1ヶ月も日記の更新をしなかった理由。別になし。 ただなんとなく書くのが億劫になってただけ。
ひろとの避暑地での休暇はとても楽しかった。 普通なら真っ先にここの綴るであろう夏の想い出。
たしかに丸二日間、今までで一番一緒にいた時間が長かった。 私たちは夏の高原で、慣れ親しんだ子供のいない夫婦か 熟年カップルのように仲良く過ごした。
最寄の駅にひろを乗せた新宿からのエクスプレスが到着して 私は改札口で彼を待っていた。
改札から出てくるひろは避暑地には似合わないビジネススーツだったけど 出張だと偽って逢いに来てくれたのだから仕方がない。
私は彼のビジネススーツ姿が嫌いじゃない。むしろ普段着の彼より好き。 本当はドキドキしたけれど、平静を装って 用意したTシャツとハーフパンツを手渡した。
駅の近くの海岸沿いにある「道の駅」へ車で向かった。 彼がトイレで着替えている間、私は大道芸人のパフォーマンスを見ていた。
すっかりリゾート着に着替えたひろと私は併設されたショップで 彼のビーチサンダルとそれと日傘を買ってもらった。
ランチをしてから別荘に連絡を入れた。 チェックインの15時には1時間ほど早かったけど 掃除が済んでいるという事で別荘に向かった。
こじんまりとした小奇麗なメゾネット型のコテージだった。 施設を確認してから買い物に行く予定だったけど 2階のベッドルームに上がっていって、 ベッドに腰掛けた途端に押し倒されて、 そのままシャワーも浴びずに3時間以上も私たちは抱き合っていた。
気付くともう日が翳り始め、吹き抜けの窓のカーテンを閉め忘れていて 向かいのレストランから丸見えだった事を知った。
「ねえ全部見られちゃったかもね。」「うん、でも関係ないよ。」
ひろはまったく平気な様子。それから近くのスーパーまで買い物に。 まるで私たちは長年連れ添った仲の良い夫婦のように見えただろう。
シンプルなチキンと野菜のオーブン香草焼き、エビのグリル、 ごぼうの煮物、牛モツの炒め物、グリーンサラダ、など 私が用意している間、ひろはテラスで一服中。
彼がビール、私は低アルコールのカクテルで乾杯。
「ね、せっかくだから明日早起きして湖までお散歩しよ。」 「うーん、起きれるかな。」 「起きよ。せっかくの避暑地なんだから勿体無いよ。」 「うん、わかった。」
こんな会話をしながらご飯を食べて 少し酔った私と、疲れが出たひろは早めの21時頃には既にベッド。 夕方、いっぱい愛し合ったせいか、 この時は一緒にお風呂に入ることもなくグッスリと眠ってしまった。
真夜中、物音で目を覚ました。階下で彼がシャワーを浴びている音。 それから冷蔵庫から何かを出してそれからテラスに出る音。
ウトウトとしているうちに目が覚めると隣でグッスリと眠ったひろの寝顔。 今度は私がシャワーを浴びに行き、パジャマ代わりに 総レースのキャミソールとローラライズの下着を身に着けて そっとひろの横に滑り込んだ。
ひろが気付いた。
「寝ちゃったね。ごめん、ごめん。」 「起こしちゃったね。」 「あ、キレイでセクシーな下着だね。持ってきたの?」 「うん、ひろに見せようと持ってきたの。」 「あはは。色っぽいなあ。」
とそのまま抱きしめられて夜明け前の数時間また私たちは愛し合った。 白いレースの下着は彼の好みだったようで そのまま脱がせずに愛撫するから、私の下着も心も身体もビショビショ。
そして1時間ほど眠ってから 私たちは約束通り、6時前に別荘を出た。 長い坂道を片道30分づつ掛けて、手を繋いで歩いた。 高原の風は爽やかで、湖を渡る風も心地よい。
野外プレイだ、なんて冗談を言ったけど 結局帰り道は上り坂で日も高く上って2人とも汗だくで部屋に戻った。
簡単な朝ごはんのメニューは・・・ チョコバナナプロティンシェイク レーズンパン 目玉焼き ごぼう添え フルーツ山盛り 具沢山味噌汁
ひろがフルーツが大好きだと初めて知った。 干しブドウのパンも好きだと知った。 一緒にいる時間が長いと色々な発見があって楽しい。
でも楽しくない発見もあるのも否めない。 朝ごはんの片付けをしている最中に彼がまたシャワーを浴びていた。 気が付くと2階のベッドルームへ行った様でダイニングにはいなかった。
チェックアウトまでまだ1時間以上あったので 2階へ様子を伺いに行く前に バスルームとダイニングにあった2人分の荷物を片付けて そのまま見に行くと裸でベッドで横になっていた。
「とりあえず帰りの仕度はしちゃったよ。」 「え、そんな時間なの?」 「ううん、まだ1時間ちょっとあるよ。」 「じゃあこっちへおいで。」
素っ裸のひろは夏のドレスを着たままの私を抱きしめた。 しばらく抱き合ってキスをしていたら スカートをめくって下着の中に彼の手が入ってきた。
もう何度もひろを受け入れた私はなかなか濡れなかったけど スカートをめくって下着を脱がされて まだ濡れていなかったけど、そのまま強引に入ってきてと懇願して 何度か彼のペニスで擦られた後はそのままスムーズに受け入れた。
「また襲われちゃったね。」と力強く私を押さえつけながら 優しげな笑顔でニッコリしながらひろが言うから 「うん、いっぱい襲われて嬉しい。」と 私は強姦されながら悦ぶ変態女みたいな気分になって また何度も何度も声をあげながら彼に逝かされてしまった。
逢えなかった時間を埋めるように 私たちはたぶん5回以上は交わったと思う。
チェックアウトしてから近郊の観光者向けの施設やリフトで山に昇り 夕方の5時過ぎにひろはまた東京へ戻っていった。
とても彼との時間は楽しかったし、 一緒にいるともう何年も付き合った恋人同士みたいだけど、 でもこうしてまた逢わない時間が過ぎて行くとなんだか不安になる。
今回、楽しかった発見とは裏腹に 彼の見えない部分も見えたのは、きっと彼も同じだと思う。
「ひろは奥さんに管理され過ぎ。」 「そうかな。そんな事はないよ。」
可愛くない事も言ってしまって彼を困らせた。
ひろの事を知るほど、奥さんに依存して生活しているのが見えてくる。 洗剤の良い匂いのする下着や、きちんとアイロン掛けされたワイシャツや、 そんな身近なもので、彼の奥さんはこの人は私の夫だと主張する。 自分では何も出来ない人だと知るほど、奥さんの存在が見えてくる。
そして
私と一緒の時でも、仕事の事なのか家族の事なのか 遠くを見ているような視線を時々感じて 私だけの男じゃないんだという事を確信してしまう。
私が求めている関係は 束の間の刺激的な逢瀬や、非日常の空間ではなくて 愛する人との穏やかな日常なんだと気付いてしまった。
そんな関係には絶対なれない私たちの現実を知って 私はまた孤独と不安に苛まれる。
贅沢だと言ってしまえばそれまでだ。 避暑地でのバカンスの次の週、彼は家族と一緒にお盆の里帰りだった。 その間は彼からの連絡がないと私はメールさえ躊躇した。
実家から帰ってきてからは又日常に戻って 毎日朝晩メールをくれたし、電話でも一度だけ話をした。
「じゃあおやすみ。」と電話を切ろうとしたら まだひろの声が聞こえた気がして、 もう一度「なあに?何か今言った?」と訊いた。
「ん?・・・愛してるよ。」ともう一度囁いてくれたから 「私も愛してる。」と答えたけれど。
往く夏を惜しんで私はちょっと心が風邪をひいた。
【164日目】
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