オトナの恋愛考
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ひろは低アルコールのビール、 私は香りの良いストレートティーで乾杯。 海辺のイタリアン「iL CHIANTI BEACHE」の 夕暮れのテラス席での会話。
ねえ
なあに?
あのね、ひろに叱られるかもしれないけど。
ん?どうしたの?
あのね、私あなたの娘ちゃんのブログを発見しちゃった。
え!?
いつもと変わらない小さな声でひろは驚いた。 少しも動揺しないでひろは聞いた。
なんて書いてあった? あいつ、写真を撮ったりブログ書くのはいいんだけど 平気で個人情報をアップしちゃうんだよな。
私、あなたの娘ちゃんのファンになっちゃったよ。
あはは。そう?何か書いてあった?親父なんか嫌いだとか(笑) あはは。そんな事ぜんぜん書いてないし、 認証キーがなきゃ読めないページがほとんどだったから。
ずっと前にあいつのブログを見てしまった時に 「オヤジなんか死んじゃえ。」なんて書いてあってすごくショックだった。
ううん、家族が大事だって。 高校生らしい可愛いこと書いてあったよ。
ブログを教えてくれと言われたけれど 「あのね知らないおばさんが見るのは許されるけど お父さんが娘のブログを見ることは許されないんだよ。」
ひろは嬉しそうに黙って微笑んだ。
本当は家族で撮ったプリクラの画像も見えた。 ひろと奥様と娘ちゃんと息子くんの4人で「仲良しファミリー」と。
この事はひろには言わなかった。
もう娘ちゃんのブログは見ないよ。
・・・とこの時彼には言ったけど 彼女が更新するたびにメールが来る設定にした。
彼女の日々の出来事の中にパパとママの事も記述があり
「クッキーを焼いたらパパが喜んでくれてよかった。」とか 「帰りが22時を過ぎてしまってパパが心配してて反省。」とか
私の前では見せない恋人の家庭での姿を 垣間見ることになるとはちょっと前まで夢にも思わなかった。
見ないようにするなんて簡単な事なのに それは麻薬のようにやめる事が出来ない。
自分がこれほど愚かだとは思わなかった。
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