Rollin' Age

2004年06月16日(水)
 ニュースの条件

 「犬が人を噛んでもニュースにはならないが、人が犬を噛めばニュースなんだよ」という台詞を何回か聞く。あんまりな例えだと思うけれど、言わんとすることは分かる。要は、その出来事が珍しいか面白いかがニュースの条件であって、「動物園から犬が数十匹抜け出して何人もの人が噛まれた」となると、これはもう立派なニュースだろう。「NEWS」という言葉自体が示すように、「真新しい」かどうかが決めてとなる。

 この「真新しさ」というのは、更に幾つかの要素に分けられる。最も重要なのは、「初めて」かということだ。注意を凝らして新聞を読んでもらうと「業界では初」などといった常套句がいくつも見つけられるだろう。当然のことながら、どっかの会社にとって「初めて」であっても、他社で既に実施していることならば、極端にニュースとしての価値は下がり、取り上げることは少ない。

 「初めて」と似るが、「独自性」も大きな要素となる。「その会社だけ」とか、同じようなことを他社が手がけていても「この会社はこの点が違う」ということとかが言えれば、ニュースになる。「規模」も重要だ。特に、「全国展開」というのはポイント。何か新事業を立ち上げるとして、既にどこかの地域で限定的に実施されていたとしても、「全国規模で展開するのは初めて」という言い方ができれば、それはニュースだ。

 「実施する主体の大小」も、出来事の価値を左右する。「社員の一割をリストラ」というニュースがあったとして、それを実施するのが大企業なのか、中小企業なのかで意味合いが変わる。やはり、大企業になればなるほど、同じことを手がけるにしても、ニュースとしての価値は高まる。

 というわけで、新聞記者は記事を書くために、なにか「真新しい」ことはないかと探している。ただ「真新しい」だけでも記事にはならない。何か新製品が出るとして、それが「真新しい」ことだとして、他に聞き出すべきことはたくさんある。誰を対象として販売するのか。どの地域に重点を置くのか。どのような販売経路を用いるのか。宣伝はどうするのか。どこで製造するのか。どうやって開発したのか。何がウリなのか。第二段も予定するのか。価格は。内容量は。いつから販売するのか。売り上げ目標は。そしてこのニュースの意味するところは、新商品を投入する狙いは何なのか、減収を挽回するためなのか、更なる売り上げ増を目指すのか、同業他社との兼ね合いは・・・云々。背景、影響などについて解説も。

 だいたいこれ全部聞くことができたら、記事になります。逆に言うと、上記の情報が欠けたら、どれほど「真新しい」ことでも難しい。特に、「目標」は欠かせない。どれだけの売り上げを見込むのか、何を狙いとするのか、が無いと、あかんです。「売り上げ目標」については、いろんな事情で話してくれないことも多い。しかし、ここはなんとしても聞き出さねばなりません。

 あとは、既報ではないかということか。おもしろいニュースであっても、一日前に他紙で報道されているならば、結局「真新しく」はない。そこらへんチェックしたうえで紙面に載せるのです。これがまぁちょっと形を変えると、「抜いた抜かれた」という報道合戦になる、と言ってよいのかどうか。

 とまぁ、日記でもエッセイでもなんでもねぇ。ただ単にニュースの条件に対する、個人的な理解をつらつらと述べただけですが。だいたい間違ってないと思いますが。まぁ、こんな感じで、日々、どっかに「NEWS」が無いか、探し回ってます。「人が犬を噛んだ」ようなことがあれば、ぜひとも教えてもらいたいもんです。「その狙いや背景」も含めて。「犬が憎かった」とか、「美味しそうだった」とか、なんでもいいけどさ。


 < 過去  INDEX  未来 >


なな

My追加