空虚。
しずく。



 戒め。

「眠れないの。」

と、笑って言った。

夜中に何度も目が覚めて、

その度に怖くて、悲しくて。

目が覚めても、眠った実感がないの。


少しだけ、頑張って、ご飯を食べた。

気持ち悪くて、吐きたくて、でも吐けなくて。

どうして、嘔吐がこんなに怖いんだろう?

昔、私はよく車酔いして、

そうなったら、必ず吐いてて。

そんな自分が、みじめで。

だからかなぁ?

吐くこと、汚いこと、みじめなこと。

そんな認識がある。


ご飯食べる=気持ち悪くなる=吐きたい。

だけど、吐きたくないから。

吐きたくない=ご飯食べなきゃいい。

そう、結論付ける。


自業自得の、足のキズから、

膿が出てきて、皮膚に黄色いあとを残す。

醜く膨れたそれを突っつくと、

汚い色の膿がまた流れ出すから、

腹が立って、

メスを突き立てて全部流した。

柔らかい皮を剥がすと、

ピンク色の肉が露出して、

触れると、ちりちりと痛んだ。


わざと、刃先を当てたら、

電流のように痛みが走って、

思わず、「っ」と、うめきが漏れた。


ああ、皮を剥がせば、

こんなにも敏感になるのか。

じゃあ、塩でもすりこんだらどうなるかな。

拷問としては、あまりに初歩的な手段だけど。


そこが、自分だと思えば、

ちっとも楽しくなんかないけど、

別の、人間、だと思えばとても楽しいよ?


頭の中に、またシナリオが組みあがる。

階段を降りるとき、お茶を飲むとき、テレビを見ながら。

無防備に置いてあるそこの包丁を取って、

私から私を奪った彼らを刺せば、

少しは、満たされるだろうか?と。


嫌悪していたはずなのに、

いつのまにかそれに楽しみを見い出している。

いつか現実になるんじゃないかと、危惧する。


止めて、止めなきゃ。なんとか・・・!


抑圧するたび、それは増大する。

笑う、口許。



笑いあった昨日が、遠い記憶のようだ。

今私は、手錠をかけ、刃物を手に持つ。

もう、自傷なんて気はない。

「この鍵を外して、そこのドアを開けろ。」

嫌だ、と抱きしめたぬいぐるみは放り投げられた。


理性と、衝動は別物なんだ。と、思う。

「誰かの人生を奪う権利なんて、
 それがたとえどんなに憎い人でも、
 ないんだ。ってわかってるよ。」

だけど、ダメなんだ。

足りないんだ、怖いんだ。

嫌なんだ。でも、言えない。


ずっと、欲しいと思ってた。

だけどもう、身体を抱きたいんじゃない。

私が欲しいのは、その後。


嫌だ、違う。

笑ってたいだけ。


嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ!


そんな葛藤とは裏腹に。

口許は、笑顔なの。


誰か、誰か止めて。

2002年08月17日(土)
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