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■ ネクロフィル。
とても楽しかった。
久しぶりに笑えた。
また、逢いたいと思った。
そう告げ、別れた。
残った楽しい思い出だけを抱いて、
また、歩めると思っていた。
・・・それを、許してくれなかったのは、
追いやっていた、変わらぬ、増大し続ける欲望だった。
流した涙は、同情だったのだろうか。
あの人がいなければ、彼と同じ道を歩んでいたはずの、
驚くほどに彼に似た、自分に対するものだったのか。
それは、このおぞましくも悲しい物語を紐解けば、
いずれわかることだろう・・・。
*
それは常に唐突で、
私のことや場所など何も考えてくれない。
消えた傷を眺め、安堵に笑おうとしたその時のこと。
脳裏に過ぎった組織。一瞬にして、表情が消えた。
縦に裂けた腕の間から覗く組織。
筋肉・脂肪・骨。間から流れ出す血液。
陳腐な想像だけですむはずもなく、
切り裂いて、覗いて見たい衝動に駆られる。
生憎ここは電車の中。カッターの持ち合わせもない。
それに多少の安堵を感じつつ、爪で紅い線を引く。
何度も傷つけられ、弱った皮膚は簡単に跡を残した。
後はそれを見つめ、空想を膨らませるだけ。
影響されやすい性質なのか、
それとも元来の性格のせいか。
"組織"がとても欲しくなる。
先程まで笑っていた私が欲しいのは、
ぬくもり、安らぎ。そんなあたたかな感情。
しかし一度表情を無くせば、
欲しくなるのは、組織・・・パーツだ。
両者のバランスはまだ保たれている。
安らぎやぬくもりはあの人によって満たされ、
組織やパーツは映像や写真といった形で満足させられる。
問題なのは、実際に触れて見たいと願う感情だ。
自分の身体にはどうしても痛みが付き纏い、
純粋にそれを楽しむ事が出来ない。
かといってもう一つの道は絶対に選んではならない。
術は身に付けた。
あとは上手く共存させる。
これからの課題は、それだ。
*
『自分に正常な感情を持つ能力があるのかどうか、 よくわからない。もう長いこと泣いたことがないから。 長いこと押し殺していると、 それ自体なくなっちゃうのかもしれない。 少なくとも、どこかは欠けてしまう。よくわからない。』
J.L.D
1991/08/26
2002年09月04日(水)
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