空虚。
しずく。



 昼と夜。

明るい昼と、暗い夜。

同じものを違って見せるその二つのように。

私もまた、表情を変える。


「されない、よな。たぶん。」

左腕から流れる血を舐めとる。

いちばん簡単な、欲望の満たし方。

不思議と、痛みは感じない。

少しずつ、刃を振るう手に力がこもる。

「自分の肉、なんか美味しくないだろうな・・・。」

何ヶ所かに残った、歯形を見て、思う。


血は、もう見飽きてて、

欲しいのはその中にあるもので。


彼、のように私も鼓動を聞くのが好きだから。

今日もまた、空想で自分を慰める。


手錠をかけて拘束する。

裸に剥いて、胸に耳を当てる。

ひどく安らぐ、その音。


・・・叫ぶ、だろうか?

その声も、最初は心地良い。

だけど、段々うるさくなってくる。


私は、とても楽しいから、笑顔を絶やさない。

使い慣れたカッターで傷つけて見る。

浅い、傷がつく。

その血を、舐める。


替えの刃を、たくさん用意しておかなきゃ。

脂でギトギトになって、すぐ切れなくなるだろうから。


語りかけながらにしようか、終始無言でいようか。

ああ、写真も大事。

お気に入りの音楽をかけて。

歌を口ずさみながら。


見たいところは、たくさんある。

ああ、解剖学の本を買ってない。

仕方ない、勘で。


殺すつもりはない。

けど、お腹裂かなきゃ内臓見れないでしょ?


・・・ここで、ストップ。

空想の中の私は何でも出来る。

だけど、現実はそうじゃないんだから。

人ひとりを拘束するなんてそうそう簡単じゃないし、

体力だって、全然ないし。

ああ、そうか。薬使えばいいのか。


また、空想に戻っていく。

それにあわせて、左腕を切ることも忘れずに。

「・・・言える?言えないよ、やっぱり。」



今日、スパゲッティーを食べた。

ナポリタンのソースをあっためて、

茹でたパスタにからめた。

「血の色みたい。」

血液だと思って食べる事にした。

我ながら、ナイスアイディア。

とても、美味しかった。

**

彼は心から、喜びいっぱいに笑うこともできなかった。
微笑や作り笑いはしてみせたが、顔には表情も動きもなく、
まるで無理矢理笑い顔を貼りつけたように見えた。

The Shrine of Jeffrey Dahmer...

2002年09月07日(土)
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