空虚。
しずく。



 悪いのは。

線路が誘っているように見えた。

耳元に響く「STILL IN THE DARK」

ふらふらと、足を出す。

黄色の点字ブロック、消えかけた白線。

電車の到来を告げるアナウンス。

「…逝ける」

ちょっとだけ笑って、歩き出そうとして。

我にかえって、身体を押し止めた。


あまりにも死の感触が優しかった。

楽になれる、とおもった。

腕を切るのが、どれだけ辛かったのか知った。

何の準備も要らない。遺書も必要ない。

ただ踏みはずすだけで、よかったのに。

2003年03月27日(木)
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