空虚。
しずく。



 この先。

今日はワイン、それから日本酒にしよう。
毎日の酒は私を蝕んでいるのだろうけれど、構わない。
安定剤も併用しているから余計かな。
だけど、今日は飲ませて欲しい。

今まで、何度も話した。
『お前が男だったら、結婚してるよ』
『お前なら、安心して任せられるのにな』
…あなたの言葉が、圧し掛かる。
僕らの前に立ちはだかる一番大きな壁は、「世間体」
夢でも幻想でもない。これは、現実だ。
私は、幻想で言葉など吐かない。それだけは言える。
現実を知って、その上であなたと生きる道を選んだ。
だから、あなたが結婚する事はわかっている。
「世間体」の為に、あなたは結婚をする。
けれど…子供は、どうするの?
子供を産まなければ、子宮ガンになる確率が高くなる。
あなたの大事な母親や、あの人のご両親も孫は望んでいるだろう。
…きっと、あなたは産むのだろうね。あの人との子供を。
私は、産んで欲しくない。でもそれは、きっと望めない。
いくら言葉で、あなたにとっての一番が私だと言われても。
どれだけ、「愛している」と言われても。
子供、という言葉の前には、全て崩れ落ちてしまう。

…あなたに、聞きたい。

あなたの子供に、私のことを言えますか?
あなたと私は恋人同士で、愛し合っていて。
あなたのご主人とは世間体のために結婚した。

そんなこと、言えますか?

…言えないだろうね。言えるはずがない。

私は、それが怖いんだ。
子供を産めば、きっとあなたは変わる。母になる。
私は変わらない。でも、あなたは変わってしまう。

…馬鹿で、愚かな女だと思うかな。
こんなこと、思ってるなんてわかったら。

たった一人の人を望んでいるだけなのに。
たった一人の人を愛しているだけなのに。

…わかっているよ。それも承知で、選んだのだから。
だから、私はひとつ、『私』に差し出したんだ。
それをあなたに見せる事は一生ないけれど。

いつか、その時がくれば。
これを見つけて、読んで欲しい。
そう、それだけを、願うよ。

2005年02月28日(月)
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