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2024年02月24日(土) ■
『う蝕』

『う蝕』@シアタートラム


「能登半島地震を受け、台本に大きく手を入れ」たとのこと(『開幕コメント』参照)。登場人物たちの対話の端々に、劇作家の“いっておきたいこと”が滲み出る。過疎地のリゾート開発にまつわる問題。行政の問題や、補助金の使い道についての皮肉。必要としているひとたちに支援が届かないことへの苛立ち。自然災害が日常になりつつある世界で生きることは不条理そのもの。人災に遭うのも理不尽そのもの。それでも、自分が出来ることを粛々と、誠実に続けるひとがいるということ。

「コノ島」「アノ島」のアクセントで違和感を持たせ、ミステリーのフレイバーを効かせる。いつの間にか「コノ」場所で起こる事象と、「アノ」場所にいる人物を探す旅に観客も引き込まれていく。一見対話に見える台詞のやりとりに、果たして実体が伴っているか。あちこちに散らばっていた違和感が終盤一気に集約され、「そうだったのか」と驚き、同時に納得もする。“それ”を知って観るのと知らずに観るのとでは受ける印象が大きく変わり、リピートしたくなる内容でもある。

iakuの横山拓也はずっと気になりつつ作品を観る機会を逃し続けていた作家。演出の瀬戸山美咲はさいたまネクスト・シアターとのコラボレーションが印象に残っていた。信用が持てる出演者も揃っていた。ただ、若手のふたりが未知数だった。坂東龍汰は『きのう何食べた?』の「タブチくん」のイメージしかなく、綱啓永は失礼乍ら名前の読み方もわからなかった。しかしこのふたりが、ベテランともいえる他の出演者の胸を借り、芝居のなかで大きな役割を果たす。まっすぐな思いと、悔いる思い。まだまだ未来がある若者が、これから歩く道と、歩けなかった道。

ワークショップを通じ“当て書き”されたらしい各々の役柄から、逆に改めて演者のキャラクターを知る思いでもあった。坂東さんの明るさ、綱さんの情熱。これが新たな第一印象になった。新納慎也や近藤公園の昏さと静かな気迫、正名僕蔵の明晰な語り口、相島一之のバイタリティ。これらの魅力を堪能することが出来たのは、少人数・小劇場でのカンパニーならでは。

遺体の身元を歯科治療の履歴から特定する──もともとは法医学に興味があったので、この作品のチケットをとったのだった。西丸與一の『法医学教室』シリーズや上野正彦の『死体は語る』シリーズ、飯塚訓の『墜落遺体』などなど。これ迄読んできた関連書には、遺体の「見つけてほしい」「どんな最期だったかを知ってほしい」という声を聴くため、ひたすら任務を果たすひとたちが登場する。自身の心も傷つきすり減っていくなか、それでも働くのは何故か。その答えもこの作品にはあったように思う。魂が抜けてしまった遺体はただの肉塊かもしれない。それでも、その肉体には何かが宿っている。それを探し出し、解き放つ役目を負うひとが必要とされている。

堀尾幸男の美術が素晴らしい。開演前、ぼんやり見ていた舞台上の風景が、災害そのもののような大音響(音響:井上正弘)とともに暗転する。再び照明が灯ると、舞台がこちらに前進してくるかのようにじわじわと客席に迫ってくる。最初は仕組みがわからず狼狽えたが、やがてそれが、折り紙のように畳まれていたバックドロップ(と思っていたもの)がほどけ、展開したのだと気付く。まさに“う蝕”のような動き。鳥肌が立った。終盤の「アノ」と「コノ」を視覚化した齋藤茂男の照明、「その前」と「その後」を示した�睫攬ねЩ劼琉畩悗盻仗Г僚侏茵�こういうものが観たくて、劇場に行くのをやめられない。

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・警察歯科医┃歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020
昭和60年の日航機墜落事故を契機に、テレビや新聞などで紹介される機会が多くなりました。
歯は人間の身体の中で、最も硬度に優れ、高温にも耐えうる組織です。(中略)大規模災害などで多数遺体が発生するような場合に、生前歯科データと死後歯科データから、高確率の絞り込み(スクリーニング)を行うことが可能です。

・座席にエアウィーヴのクッションがついてた! いつから? トラムって指定席もベンチ仕様でまあまあ腰に負担がかかるので、クッション(しかもエアウィーヴ!)あるのうれしいですね



2024年02月23日(金) ■
『2024 小林建樹ライブ 25周年、一緒に楽しみましょう!』(神戸配信)

『2024 小林建樹ライブ 25周年、一緒に楽しみましょう!』@神戸ALWAYS(配信)

神戸公演は配信で。演奏が毎回違うというのは東京公演のときにも書いたが、今回印象深かったのはMCの違いだった。両方観たことで気付いたところも多い。その辺りを交えつつ以下おぼえがき。

・同じMCでもローカライズされているのは昨年もそうだった。「Sweet Reneez-Vous」のMV撮影をした場所の固有名詞は省く、など。細やかな気配り
・「この世の感じがしない」という九段周辺の話も印象的だった。先週『ちよだ猫まつり』のあと九段下を散歩して帰り、件の“日本史料館”周辺も見てきたのだが、確かにこの辺りにはちょっとした恐怖を感じる。ひとおも車も多くとても騒々しい幹線道路から、数十メートル歩いただけで別世界のように静かになる。鎮魂の場であるが、常に喧しい。さまざまなひとの思いがぶつかる場所

・そこでふと気付いたのだが、「AIが人生を説く曲」と解説された「キミ晴、語る」は明治時代の史料からインスパイアされた、と話していたが、落合陽一氏も作品タイトルにカタカナ表記をよく使う。AIの言葉はカタカナによって“勅語”になりうるのか? などと考える
・“拝金主義ニ乗リ出シタ 人情店ノ所作(ムーブ)”からの「料金を上げてもいいのに、むしろ上げてほしい」という話は東京公演ではしていなかった。小林さんはお金の話をよくするし、歌詞のなかでもときどき描かれる。だいじなことだと思う

・てかこの話、YouTubeで夜中にグルメチャンネルを観るのが好き、というこれまた東京ではなかった話題から展開したものだが、そこから体調の話を50肩(伏せない)の件に持っていかず、健康診断引っかかってしばらく経過観察をしていたといいだしたので肝が冷えた。ちょっと! 今はもう大丈夫なの!? おだいじにですよ!
・いやーでもこの年代になると引っかかりますよね、なんかしらガタは来るよ、半世紀も使っているのだもの店…などとしみじみする。いやマジでおだいじに
・しかし「ラーメンとチャーハン、いっぺんに沢山食べたいのに胃が追いつかない」話わかる、わかるわ(笑)

・しかし近年の演奏を聴くにつれ、YouTubeでは音楽コンテンツも相当観ているのではないか、と思う。鑑賞だけでなくアナライズのために。というのも、アレンジがモダンなのだ
・以前から、所謂音符に置き換えられない“語り”のような唄い方をすることはあった(ライヴではそれが顕著になる)。それが新譜の「キミ晴、語る」「アンブレラ」では、ラップやライムを全編に起用している。“語り”の使い方がアップデートされている
・過去曲にあてるコードも、今の若い子がつくっている楽曲を聴いて相当研究しているんじゃないかな。それは小林さんが20代のときに、あらゆるアレンジを次々と呑み込める懐の深い楽曲を書いていた、ということでもある。不朽の、そして普遍のメロディー
・新譜の曲も同じこと。きっと数年後、数十年後に新しいアレンジで、新しい響きを聴かせてくれる。それを聴いていきたいな

・「裏切らない」の話は、東京とはちょっと違ったニュアンスで聞けた。「自分の音楽人生って凸凹だと思う」「唄ったり、やめてみたり、違う曲書いてみたり」。それでも聴いてくれるひとがいる、ライヴを開催すると駆けつけてくれるひとがいる。「いい人生だなと思いますけども」から、「それを裏切らない曲を書いていきたい」
・ライヴに関しても、「今年は沢山やろうと思うんで」といっていた。よかった、次は30周年のときとかではなさそう(笑)

・望郷、の思いもちょっと感じた。故郷である神戸でのライヴだったからというのもあるだろう。開演前と幕間に流れていたフュージョン(配信では会場で流しているものをマイク拾うのではなく、ライン直結で鳴らしていたのでめちゃ音が良かった。曲間のやりとりから日本人の演奏だとわかったけど、なんてバンドだろう? 格好よかった!)を聴いていたようで「フュージョン、流れてましたね。やっぱり神戸はフュージョンの街」といっていた
・「26歳迄神戸にいて、東京に出てきて26年。でも、やっぱり26迄関西にいたので、そうそう変わらない」。確かになあ。10代で上京してくるのとは訳が違う。やっぱり地元に帰るとホッとするし、だいじにしたいものなのだろうな
・そうそう、 『KOBECCO』 という情報誌にインタヴューが載るんですって! 紙媒体の記事って久しぶりじゃない!? うれしい! web版で読めるかもだけど通販出来るようなので申し込もう(フィジカル愛)、3月号だそうですよ楽しみー

・最後に「Gift」を演奏したあと、「わかりました? これキーDなんですよ」ってちゃんとオチをつけたところもよかった。東京では種明かししてなかった。巧いニクい構成、お後がよろしいようで(ポンッ)

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以下は個人的な感想。

・菊地成孔とスキャット合戦してほしい

・神戸の配信、今回はちょっと映像に乱れやコマ落ちあったけど(翌日修正版URLが届きました)、前回同様映像めちゃ綺麗
・音もヘッドフォンで聴くとピアノのマレット音やペダルを踏む音も聴こえ、現場とはまた違う臨場感がありました

・東京も神戸も配信の技術が高いハコを選んでるなあと感じる。手間もお金もかかることだし、コロナ後(まあ今も“後”ではないんだが)はライヴ配信も減る傾向のようだけど、小林さんのライヴを聴きたいひとは全国にいると思うので、続けてくれるとうれしいな

(20240226追記)
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Setlist(オフィシャルサイトより)

01. Window(『Window』)
02. カナリヤ(『流れ星Tracks』)
03. 満月(『曖昧な引力』)
04. Junk(『満月』)
05. 最初のメロディー(『Blue Notes』)
06. Sweet Rendez Vous(『曖昧な引力』)
07. 魔術師(『Gift』)
08. トモダチDays(『流れ星Tracks』)
09. 水瓶座(『何座ですか?』)
10. アンブレラ(『Gift』)
11. イノセント(『Music Man』)
12. アントニオ(『Rare』)
13. Rare(『Rare』)
14. キミ晴、語る。(『Gift』)
15. 生存本能(FC特典楽曲)
16. ヘキサムーン(『Music Man』)
17. 歳ヲとること(『曖昧な引力』)
(15〜17はメドレー)
18. 祈り(『Rare』)
encore
19. Goodtimes & Badtimes(未発表曲)
20. Gift(『Gift』)

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(20240305追記)
・デビュー25周年。1周回って原点回帰です。|シンガーソングライター 小林 建樹 さん┃神戸っ子
曲を作り、詞を作り、編曲し、歌う。1人で黙々と続けていたらアルバムができる。できたら聴いてほしいですから。
僕も、僕の音楽を作ろうと思います。何年にもわたっていろんなことを考えていますけど…。 結果、今、音楽に向かう気持ちはこれまでになくシンプルです。
KOBECCOの記事出ました。インタヴュー記事を久しぶりに読めてうれしい!



2024年02月17日(土) ■
『THE WILD 修羅の拳』『2024 小林建樹ライブ 25周年、一緒に楽しみましょう!』

『THE WILD 修羅の拳』@シネマート新宿 スクリーン1


某ダルス氏の写っている画像をSNSに流すのには躊躇するので、考えた末スタンプで隠してみた。しかし今回観てやっぱ演技巧いなーと改めて思った。残念なことです。しかしソンウンさん、『ウンナム』に続いて某ダルス氏と共演ね。援助の気持ちもあるのかなあとちょっと思った。

原題『더 와일드:야수들의 전쟁(ザ・ワイルド:野獣たちの戦争)』、英題『THE WILD』、2023年、キム・ボンハン監督作品。男がダメで女がそれに巻き込まれる。そんで女が陵辱されまくる。そんななか、ソンウンさん演じる主人公だけが硬派で優しいく不器用という図式。いやー90年代の日本のVシネみたいだった。懐かしささえ感じる。マダムが強くて格好よかったが、演じたヨンスさんはこれが遺作とのこと。なんだか象徴的だな……と思い切なくなる。

で、どんどんひとが死ぬんだがまあどいつもこいつもですよねー報いを受けろやという死に方なのでいいのではないでしょうか。お前が生き残るんかーいとは思ったけど、彼の境遇を思えばいいんじゃないの。でも幸せではないよね。そんで女の生き残りもそんな……なんもいいことない! 何あの最後の幻想! キエーつらいしかない!『アシュラ』のオマージュかなーと思うシーン(コップを食べそうで食べない)もあったがまあ結構なバイオレンスです。クスリダメ絶対。

しかしソンウンさん、『ハッピー・トゥゲザー』に続いて漁船に乗せられそうになってた。そして結果的に「あのときカニ漁船に乗ってればよかったんだー!」なんていわれてしまう(ヒドい)不憫な役でした。アクションは流石だし、格好よかったけど。黙って立ってる姿がもう絵になる。

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・輝国山人の韓国映画 THE WILD 修羅の拳
いつもお世話になっております。今回パンフ販売なかったので本当助かる

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『2024 小林建樹ライブ 25周年、一緒に楽しみましょう!』@Com.Cafe 音倉


このあと数字をひっくり返して52〜とかやってた。いわれてみればご年齢。帰宅後テイラー・ホーキンスの誕生日のお祝いがSNSに沢山流れていて、そうか、同じ歳だったんだな……と思う。

入場時にはプレゼントとしてサイン入りポストカードが配られ、入口にはスタンド花、ピアノの横にはバルーン。開演前に「最後、写真撮影の時間を設けますので、是非撮っていってください」とのアナウンス。『Gift』レコ発でもあり、25周年記念でもあった。ファンへの感謝が端々に感じられる内容で、なんだか申し訳なく思ってしまうくらい。こちらとしては小林さんの音楽が好きなただのいちリスナーですからね。それもあり、終盤のMCには少なからず衝撃を受けた。「皆さんを裏切らないようにしたい」といったのだ。先月窪田晴男について、彼には一度も裏切られたことがないなあと思い返していた。偶然にしてもドキリとする。

こちらとしては、これ迄小林さんに裏切られたと思ったことなど一度もなく、これからも好きなように音楽をつくり続けてくれれば何もいうことなどないのだ。責任なんて感じなくてもいい。極端な話、音楽をつくるのが苦痛になったら休んでもいい、止めてもいい。もう充分過ぎるくらい沢山のものを受けとっている。もうホントさ、元気で生きていてくれるだけでいいんだよ。新しい曲や演奏が聴けたらもう、そのひとつひとつがご褒美ですわ。なんて思ってしまう。

とはいうものの、やはりこのひとの真骨頂はライヴだなあ。とも思う。頭の中の音楽を、身体を通して次々とアウトプットしていくプロセスが観られる、聴ける。まさに「実演」。いつでもどこでも繰り返し聴ける音源があることはとてもうれしいのだが、何しろ「実演」は毎回違うのだ。コンディション云々だけでなく、演奏そのものが具体的に毎回変わる。エレアコにもグランドピアノにもエフェクターをかまさず、楽器そのものの音を聴かせる。それでも毎回別ものなのだ。音楽がいきものになる瞬間を目撃出来る。

一時期はリズム(ひとりポリリズムの実践!)に興味が行っていたようだが、今はコードを探求中なのだろうか。ニューオーリンズジャズのテイストが感じられた。その上この日はギター(ピアノもだが。てことは結局どっちもなんだが)でえっらい複雑なコードを連発していた。コードを押さえること自体がもうたいへんそう(指がつりそう・笑)で、ひとつひとつ確認するような仕草でフレットを押さえていく。今日のライヴは(キーがD=ニ長調に代表されるような)明るいキーでつくった曲を選ぼうと考えて、と話していたが、もはやその音階を用いてつくったメロディにそのコードを当てるんかい、という領域に足を突っ込んでいる。このコードを当てたらどうなる? と実験しているようにも見える。そうなると、イージーに「明るい曲〜」なんていえる訳もない複雑な音が展開されることになる。「明るいのだが、何だか不穏」、「明るいんだけど、なんだか悲しい」。楽曲の新しい顔が次々と掘り起こされる。そのうえに一筋縄ではいかない歌詞が乗る。あの声で乗る。ますます曲の世界が拡がる。

菊地成孔が高橋徹也を評していった「トゥイステッドポップ」を連想する。コードを「当てる」、ビートを「置く」。釣りでいうところのアタリを探っている。ひとつの楽器とひとりの声が、捻りに捻ったアレンジで一周(か? 二周も三周もしているようにも)まわってポップに響く。ここでまた考えてしまう。自分で引用してしまうが、


菊地さん曰く「ジャンルミュージックにお手本がな」い。過去の偉人たちの功績に彼らにしか出来ない手法でアプローチし、曲を書く。“野生の思考”といえるかもしれない。そうして出来あがったものは、安易に名前をつけられない“発明”になる。だから、再び菊地さんの言葉を借りると「一回ファンになった方はもう一生離れない」魅力を孕むのだろう。これは小林さんにもいえること。
引用//・『小林建樹と高橋徹也、と菊地成孔の話』┃I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE


野生のアナライズは、唯一無二の音を生む。「(略)テンションコードに出会ったのが十代後半。それまで探り当てられなかった中間の響き、着地しない感覚を得て曲作りが劇的に自由になった。独学と言えば聞こえが良いけどレコードと本のおかげ」という高橋さんのツイートを読み、あながちこの見立ては間違ってはいないのかもと思った。

ピアノを弾く姿勢はなんだかグールドみが増したというか、こんなにちいさくかたまって弾いていたっけ? と思う程背中を丸め、演奏に没頭しているよう。後半の予告なしメドレーでは、「えっ、メドレーなんだ!」という驚きとともに、曲間のブリッジに弾かれるコードから「次の曲はこれか?」「あれか?」と待ち構えるのも楽しい。ここはめちゃめちゃエキサイティングだったなー。演奏後「独りよがりになってしまって」と苦笑していたけど、弾いてて楽しくなっちゃうんだろうな。それを聴けるからこちらも楽しい。

新譜『GIft』からもかなりの楽曲を披露してくれた。リリース前にライヴ(弾き語り)で聴いていたものは「おかえり!」といった感じでもはや馴染み深く(笑)、さまざまなアレンジが施された音源の方で聴いたのが先だったものは、「“Two Hands One Mouth”でこうなるんだ!」と瞠目する。バンドセットで演奏したらどうなるかな、とも思う。歌詞についての解説も興味深く、「キミ晴、語る」のカタカナ使いは九段にある史料館(昭和館か遊就館だと思われる)で見た書物からインスパイアされたというのには驚かされた。普段から図書館等の公的施設をよく利用しているようだが、発想の種はいろんなところにあるのだなあ。といえば、「歳ヲとること」のカタカナ使いはどこからの発想なのだろう?

「(レコーディング後は)ずっとPC上の作業になるので、根を詰めてやっていたら、ある日腕が上がらなくなったんです。これは……あれか!? って。(同世代であろう)皆さんもわかりますよね、あれです」で頷くひと多数。「あれは治る、治りますよ」とちいさな声援(?)も。わかる。治るよ!(笑)ミックスやマスタリングも全部DIYだったようだ。今回のアルバムが所謂フィジカルで、しかもご本人いうところの「王道のCDパッケージ」でリリースされたことはとてもうれしかった。ラジオ出演等、プロモーション活動(! 久々じゃない?)も行なっているし、多くのひとに届くといいな。

今回は、メジャー時代から聴き続けているであろう同世代、近い世代に向けての感謝、という側面があったように思う。「何もいわなくてもこうして来てくれて、ねえ」なんていっていた。「明るい曲」を意識的に選んだことも、『一緒に楽しみましょう!』というライヴタイトルも、アニバーサリーというだけでなく、あまりにも悲しいことが続く現実に疲れ傷ついた心に、少しでもホッとする時間を提供したいという思いが込められていたのかも知れない。『Gift』は、小林さんに宿る音楽のギフトでもあり、そのギフトをおすそ分けしてもらった聴き手へのギフトだ。

個人的には「Rare」が聴けてとてもうれしかった。「『Rare』という曲をやります」といったとき、客席から思わず口に出てしまった、という感じで「やったあ」と声があがった。フロアが一瞬ざわっ(さわっ、くらいかな)とし、続いてあちこちから「だよね」「わかる」なニュアンスでくすくすと笑い声。ささやかな騒ぎに気づいた小林さんが、一瞬客席を向きニコッと微笑んで弾き始めた。あれはいい光景だった。演者と聴衆のいい関係。

「次は30周年がやれたらいいな」。楽しみにしています! でもここから5年音信不通になるのはやめて(笑)! でも無理せず!(複雑)

(セットリストはツアー終了後転載予定)

(20240226追記)
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Setlist(オフィシャルサイトより)

01. Window(『Window』)
02. カナリヤ(『流れ星Tracks』)
03. 満月(『曖昧な引力』)
04. How?(『Window』)
05. 斜陽(『Music Man』)
06. Sweet Rendez Vous(『曖昧な引力』)
07. 魔術師(『Gift』)
08. トモダチDays(『流れ星Tracks』)
09. 水瓶座(『何座ですか?』)
10. アンブレラ(『Gift』)
11. イノセント(『Music Man』)
12. アントニオ(『Rare』)
13. Rare(『Rare』)
14. キミ晴、語る。(『Gift』)
15. 生存本能(FC特典楽曲)
16. ヘキサムーン(『Music Man』)
17. 歳ヲとること(『曖昧な引力』)
(15〜17はメドレー)
18. 祈り(『Rare』)
encore
19. Goodtimes & Badtimes(未発表曲)
20. Gift(『Gift』)

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・「しんごくんはどこ?」の話(観られる方は配信で是非)。誰と間違えられたんだろう? と休憩時間に1999年のSM●P画像を検索し「ゴロちゃんかな?」「つよぽんじゃない?」と確認している様子があちこちで。ワタシたちのテーブルもその話に花が咲きました。初対面同士なのに、昔話で盛り上がったりして楽しかった〜

・25のバルーンを持たされてる姿。なんだか藤井聡太八冠がいろいろコスプレさせられたりお茶会に出席させられたりしている様子と被りましたわ……(笑)。ファンのためにって感じでやってくれたんだろうなあ、感謝感謝

・それにしても、メジャー時代の楽曲をYouTubeで使えないって話。よく聞く例ではありますが、レコード会社の契約ってホントさあ〜と思う。自分の曲なのにね。それこそ菊地さんや五十嵐一生のように版権をクリアにして取り戻せないものだろうか

(20240226追記)
・東京、神戸、ワンマンライブ、ありがとうございました!┃小林建樹オフィシャルサイト
節目の祝い事は恥ずかしくて逃げてしまうことが多いのですが、応援してくれる方のことを想像し、恥ずかしさを跳ね除け開催させてもらいました。
ですよね……有難う有難う。
そしてタバコやめてたのね、「禁園」を唄ってたひとが! いやいや自分で納得してやめてるのならよきかなよきかな。そしてさりげなく次のライヴが発表されている。うれしい!



2024年02月10日(土) ■
十八世中村勘三郎十三回忌追善『猿若祭二月大歌舞伎』夜の部

十八世中村勘三郎十三回忌追善『猿若祭二月大歌舞伎』夜の部@歌舞伎座


すし桶が全部首桶に見えるバイオレンス人情悲劇『すし屋』のあとだったから救われた気分でしたよ……。それにしても十三回忌とは、もうそんなに経ったのか。と何年経ってもいってる気がする。勘三郎さんのことは、ずっと早かった、早すぎた、と思い続けるだろう。

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入場するとお線香の匂い。ロビーには勘三郎さんの遺影に、お花に、香炉。3階席の“想い出の歌舞伎俳優”コーナーには、新たに猿翁さんと段四郎さんの肖像写真が飾られていました。そして劇場のあちこちに、篠山紀信氏撮影のポスター。あまりにも、あまりにも次々と。

しかしそこは中村屋。底抜けの明るさと、その光の強さ故の冥さを強烈に感じさせる追善公演でした。

■『猿若江戸の初櫓』
前日迄体調不良のため休演していた勘太郎丈、初役の猿若を元気いっぱい務めます。声の張りよく仕草もキレよく元気よく、「まああ」「はああ」といったちいさな声が観客席のあちこちから上がります。かわいいというのはあるんですが、ちゃんと台詞が通るところがよい。一座──猿若座(後の中村座)──の現状がきちんと観客へ伝わります。七之助丈の出雲の阿国も艶やか、声のよさ。ふたりの舞に笑みがこぼれます。夜の部が華やかに始まりました。ところが。

■『義経千本桜 すし屋』
冒頭にも書いたがバイオレンス人情悲劇が幕を開け。思えば初見だった、こんなむごい話だったとは…『鎌倉殿の13人』ですっかりポピュラーな存在になった首桶が、こんな形で使われているとは……。首実検自体は歌舞伎芝居でもよくあるモチーフですが、それにしたってすし桶が! 全部! 首桶に見える! だってホントにすし桶に首隠すんだもん!(泣)
調達してきた小金吾の首をそっと風呂敷から出す歌六丈の演技が圧巻で、観客が「あっ」「ひっ」と息を呑む微かな音がさざなみのようにあちこちから。そう、歌舞伎座にしては珍しく(…)観客の集中力がとても高く、それこそ針一本落ちる音すら聴こえそうなくらいの静寂がそこにはありました。演者のやりとりに目を凝らし、耳を澄ます。その緊張感に、これこれ、これが観劇の醍醐味と静かに興奮しておりました。
それにしても新悟丈もうすぐご結婚(おめでとうございます!)なのにこんな辛い役……。しかし所作と声の良さは素晴らしかった。語らず連れ去られていくその姿には凄みがありました。美しい。
芝翫丈はいがみの権太初役とのこと。いやあ、ホント憎らしい(微笑)。その分最後の告白には感じ入るものがありました。ほだされてしまう情とは、なんて考えてしまったわ。

■『連獅子』
長三郎丈、仔獅子初役。もう10歳かねー。それにしてもこの子大物になるのでは……と思わせられる、見事な仔獅子っぷりでした。
お兄ちゃんの勘太郎丈は(記録に残っている中では)史上最年少の9歳で仔獅子初役を務めたそうですが、身体は長三郎丈の方がひとまわりちいさく見えました。毛振りのときも安全を考慮してか(中村屋は代々そうらしい、とルートさんに教えて頂きました。有難うございます!)、台にはのぼらず舞っていました。
しかし、しかしよ。なんだろうこの堂々とした立ち居振る舞い。なんていうの、親獅子に崖から突き落とされてもその崖の下ですら逞しく生きていけそうな(まあ這い上がってこその仔獅子なんだが)のびのびとした、生命力の塊みたいな、ストリートキッズみたいな……。毛振りのあと、台にダン! と勢いよく跳び乗る、まさに「火の玉」(後述記事参照)。
狂言師左近の時点でもうオーラがあるというか、キリリとした所作にハッとさせられ、まだ短い腕脚でキビキビと踊るその姿に目が釘付け。手獅子をカカカカ、と動かす様子も慣れたもの(に見えた)。一方で、蝶々を追いかける仕草のかわいらしいこと。崖から這い上がってきたのちの舞も喜びに溢れていて、極めて陽気さを感じる。おお、中村屋よ……と口角が上がる。厳しかったであろう稽古もノンシャランと乗りこなしたように見えてしまう、もはや貫禄すら漂う仔獅子。お父上いうところの「ファニーな男」(後述記事参照)、面目躍如です。思えば長三郎丈は勘三郎さんには会っていないんですよね。なのにどうしてか、観客の勝手な思いでしょうが、勘三郎さんの面影を感じてしまった。見てくれではなく、芸の味で。不思議。
勘九郎丈の親獅子は、悲愴感すら漂わせる厳しさを全身から放っており、それが色気すら感じさせるもの。仔獅子を見やる姿には慈愛が満ちている。そもそも踊りに頭抜けた才のある方ですが、常に自分を疑い追い込む姿勢は変わらない。どんなに険しい道だろうか。しかし彼がいるから未来は明るい、きっと。

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・勘九郎、七之助が語る「十八世中村勘三郎十三回忌追善」┃歌舞伎美人
「本当にファニーな男なので、火の玉のような仔獅子をやってくれると思います」
いやまさに!



2024年02月07日(水) ■
QUEENS OF THE STONE AGE JAPAN TOUR 2024

QUEENS OF THE STONE AGE JAPAN TOUR 2024@TOKYO DOME CITY HALL


ずっと「マイキィイイイーーー!!!」と叫んでたひとの近くにいたおかげでマイキーのスマイル頂きました、レア〜! 鬼神の形相で演奏してたんだけどあまりにも続くので笑ってしまって「しょうがねえなあ」って感じでこっち向いてくれたよ! ぎゃわ!!!

思えば今迄ニックがいる方とかラネガン来る方とかで下手側でばっか観てたので上手側から観たの初めてだったじゃん…ま、マイキ〜〜〜!!! てかラネガンのこといろいろ思い出してしみじみもしたがとにかくジョシュが楽しそうでこちらもうれしかったな……。ラネガンが唄っていた「A Song for the Dead」を今、闘病中(後?)のジョシュが唄ってるというのもなんかもうね……。マイキーがいたジュビリー(アーロン・ノース!)のこととか、アラン・ヨハネスの演奏また聴きたいなーと思ったりもしてた。アラン先日入院してたみたいなので心配だな……みんな元気でいて!!!

という訳で6年ぶりの来日公演。とはいえ間にコロナやらジョシュの裁判やら病気やらあったので、体感としては早かったな……ううう信じて待っててよかった。ひとまず落ち着いてよかった、穏やかに楽しく過ごしてもらいたいものですよ……。今回日本が大好きで日本語を学んでいるお子さんと一緒に来るといっていて(後述インタヴュー)、1月末にはもう来ていたらしい。一週間くらい滞在出来たのかな。2017年以降結構頻繁に来てくれるようになってうれしいことですが、お子さんが日本びいきだというのも要因かもしれないですね。でもさーそもそもキャンセル続きだったのって間に入ってたブッキングエージェントがダメだったんだよね! 以前ジョシュが「キャンセルしたのは一度だけ」といってたから、バンドに話が通ってなかったってことじゃん。どこだよ。ディストリビューターがbeatinkになってからはコンスタントに来ている気がする。有難いことです。安心と信頼のbeatink。ときどき斜め上の大チョンボするけどな。CDに全然違うアーティストのライナーノーツが入ってたりな…QOTSAでも『VILLAINS』でやらかしたよね……そりゃ書き手は怒るわ。いや買い手も呆れるわ。といえば会場で山��さんお見掛けしました。安心と信頼の山��智之。

beatinkのことはホント大好きなのよ! 頼むよ!

閑話休題。オフィシャルのニュースレター先行で買ったためか(お知らせとパスワードが届いた。日本のe+経由)まあまあいい番号。しかし入場時間に間に合わず、入ったときにはもう最前は埋まっており、中途半端に前に行くと危険(…)なのは判断出来たので、2ブロック目の最前を確保。始まるとやはり阿鼻叫喚になり、柵と柵の境目にいた隣のひとは流されていった。柵があってよかった、上腕内側に青タン出来たけど。

登場SEはチャップリンの「Smile」女声ヴォーカル版。ええ〜なんかこっからもうドラマティックだわよ。メンバー出てきて大歓声。ジョシュが出てきたら自分の周囲は男女問わずキャアキャアいう。わかる。あれはキャーていう。うそかっこイイイきゃああうひゃーほんものーーーみたいな悲鳴がずっとあちこちから上がってました。1曲目は「Regular John」(! 1st!)。ジョシュの第一声でまた皆してきゃあああていう。わかる。あれはキャーていう。色気の塊だし声もセクシーですよね。で、その声がめちゃくちゃ通る。全然力んで唄っていないのに。PAのよさもあるのか。

それにしても毎回リフが大合唱になって笑う。「No One Knows」もだけど「Sick, Sick, Sick」でも皆リフ唄うのよ。やっぱリフだなー! リフの鬼が3人いるもんなー! ベースのリフも最高だよなー! とはいうものの今回歌詞があるとこもシンガロングになったのよ。かなり危うかったけど。ジョシュがマイクから離れて、一瞬シーンとなって手拍子とか起こってしばらくして「あっ……ここみんなで唄うとこなんや!」と観客が気づいてジョシュ苦笑ってなとこあったけけど。気を遣ってくれたのかトロイが手拍子に加わってくれたりさ…その後ジョシュの指導が入ってかなり儚いシンガロングだったよ……こんな日が来ようとは。ライトをつけてとジョシュがいって、フロアを見渡して感慨深そうに微笑んだのが印象的でした。TDCホールってアリーナ+バルコニー×3の実質4フロアで縦に長いというか、椅子席の段差を大きくとって奥行きを減らした客席なので、下から見上げると壮観なんだよね。ほぼフルハウス(ソールドアウトとアナウンスされてた)のいい光景。「Make It Wit Chu」を男女に分けて唄わせたり(勢い込んで唄い出した男性陣を違う違うそうじゃそうじゃないとたしなめる)、クルーをボーイズと呼んだり、先生! と呼びたくなるジョシュでした。

で、位置からしていちばんよく見えたのはマイキーとセオドアだったんだけど、いやーマイキーめちゃいい仕事してたわ。最年少でヤンチャ担当だと思ってたすまんかった。ヤンチャだいじだけど。あんだけ動きまわるのに演奏がとても丁寧で、ビブラートとかすごく細かく入れていた。ダブルマイクスタンド(でも片方しか使ってなかった? エフェクトかける用と分けてるのかな、でもそんな曲あったっけと思ってたけど)使いでコーラスの比重も高い。で、美声。演奏に熱が入ると歌の方が雑というか素っ気なくなるとこもいい。余韻とかいらんって感じで吐き捨てるように唄うのがまた格好いい。あとやっぱアクションが華やか! やたら歩きまわるわキックしまくるわフロアをオラオラと煽るように覗き込むわ。途中ジャケットを脱いでもはやトレードマークのタンクトップ姿になったんだけど、「脱いだ脱いだ」とあちこちから声が上がってた。リズム隊だからということもありマメにセオドアの様子を見に行ってましたね。

そうそう、途中からなんかセオドアのキックがビチビチした音になってるなあと思ってたらやはりトラブルだったようで、「The Way You Used to Do」を途中で止めてやり直しに。ジョシュの「ちゃんとやりたいからやり直す」発言にキャーとなり、トロイが007の「James Bond Theme」を弾いて場を繋ぎ、そこからメンバー紹介に。マイキー日本が大好きなんだよ誕生日なんだよ〜とかいい出してフロアがハッピーバースデー♪を唄い出し、やめろやめろ! とかお戯れタイムに。帰って調べたらマイキー8月20日生まれだった。全然違うがなジョシュ適当なこというなウケる。ていうかこのときマイキー小声で帰りたくないっていったの!? 聴き逃した。おいマイキーかわいいな。

いやーしかしこんな和やかな空気の流れる(まあ終盤また阿鼻叫喚になるんだが)ステージになるとは…ジョシュもこんなに喋るひとだったっけ……ていうかさーすっかり“バンド”になったねえとしみじみ。以前はジョシュの頭のなかにプランがあって、それに応じてゲストを呼んでセッションで、って印象だったけど、今はトロイの12弦もスティールも(マラカスも!笑)、ディーンの鍵盤もセオドアの腹にくる重ーいドラミングもマイキーのタイトかつ流麗なベースも不可欠。マイキーとセオドア、トロイとジョシュがしょっちゅう集まって(ディーンはちょっと位置的に動けないが)お互いの呼吸を確認しつつ演奏する光景も強い、強いわ。数年の空白は問題ではなかった。

「The Way〜」以降は曲順等に変更があったようなんだけど(後述セットリスト参照)、まあそうした臨機応変は朝飯前だろう。てかおかげで(?)「Sick, Sick, Sick」聴けたんじゃん! 絶対聴きたかったやーつそんで大阪では演奏したって知ってたからこっちでやらなかったらキエーてなってたきっと!!! 「Into the Hollow」も聴けてうれしかった(『Era Vulgaris』大好きマン)!!! 今回つくづくこのバンドに飢えていたというかこのバンドのリフが大好物だったんだな…と改めて自覚しましたね……先生ロックがしたいです! リフでグイグイ展開する骨太なグルーヴが大好きです! 新譜からのナンバーも最高でした!

はー、エモが極まった、とってもハッピーな時間だった。笑顔が絶えなかった。SEが「Smile」だったこと、ずっと憶えていると思う。

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Setlist(setlist.fm)

SE: Smile (Charlie Chaplin song) (Peggy Lee version)
01. Regular John
02. No One Knows
03. Smooth Sailing
04. My God Is the Sun
05. Obscenery
06. Time & Place
07. I Sat by the Ocean
08. Carnavoyeur
09. The Way You Used to Do
(with false start, then 5 minutes of technical difficulties while roadies fixed the kick drum)
10. Into the Hollow
11. Emotion Sickness
12. I Think I Lost My Headache
13. The Lost Art of Keeping a Secret
14. Make It Wit Chu
(w/snippet of Rolling Stones’ Miss You)
15. Little Sister
Encore:
16. Sick, Sick, Sick
17. Go With the Flow
18. A Song for the Dead

Note: 'Paper Machete', 'Negative Space' & 'God Is in the Radio' on setlist but not played. 'Sick Sick Sick' wasn't on setlist

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出囃子がペギー・リーの「Smile」だったってとこ迄フォローしてくれるsetlist.fm、集合知にしたってホント誰が書いてるのか。有難い〜。


画像拝借、シェア有難うございます。当初のセトリから−3曲、+1曲になったということか。「Negative Space」聴きたかった! でも「Sick Sick Sick」は最高だった!

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また来てねええええ


公式にRTされてて笑った。わかる

・クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジが語る、日本での異邦人感覚、音楽で「遊ぶ」ことの本質┃Rolling Stone Japan
「多くのポップ・ミュージックは、ミュージシャンがつまらなそうにプレイしてるけど、それってボーカルに注目させるためにやってたりする。/俺たちはミュージシャンも面白いものをプレイして、サウンドも楽しめるようにしてる。」
ショウのつくり方(演出的なもの)についての考えも読めて興味深い。そしてアイスクリームが好きなのがわかったふふふ





おとーさんの顔だわ〜優しい表情。てかお子さん一昨年のテイラートリビュートからまたひとまわりおっきくなったね! こどもの成長は早い。
お子さんの影響で『進撃の巨人』も読んだりラーメンも食べたりしてるそうだし(笑)、日本に親しみを持ってもらえてうれしい。元気でまた来てね!



2024年02月04日(日) ■
『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』

(行ったのは2/3、『南博Special』とハシゴでした)

『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』@TOHOシネマズ新宿 スクリーン10


IMAXで観たというのを残したくて退きで撮ったのでヴィジュアルが小さくなった。

2000年にシネクイント(リニューアル前、PARCO SPACE PART3から変わったばかりの頃)でのリバイバル上映を観たのが最初。その後『アメリカン・ユートピア』公開に合わせて何度目かのリバイバル上映が行われ、boidの爆音上映二本立てとかもあった。いやあ、2021年は祭りでしたね。



この時点では4Kレストアのことなんて知らなかった訳で、ウワーン寂しいとかいってたんです。それから二年。


A24の第一報! フギャーとなる。頼む日本公開! と祈る。いややるとは思っていたけど、IMAX上映もやってくれると迄は思ってなかったよ〜GAGAさん有難う有難う。一週目ということもあるけど盛況でした! 新宿という場所柄か、外国人のお客も多かった。旅行で来てたら公開してるので観よう! となったのかなって感じの。

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いやー映像も音もクリアなこと。そしてスクリーンがデカいこと。実は酔いました。どうにかしたい三半規管。でも没入感は最高。現実的に行ける筈もなかった、1983年のパンテージシアターにいたような気分を味わえるなんて! 映画って本当に素晴らしい。

個人的にはフィルム独特のざらつきやノイズ、粒子の粗さも好きなので(というか、今はフィルターで敢えて「昔っぽいテクスチャー」にしちゃうことも出来るのだが。でも、それとはまた違う味というものがあるのよ〜。ロールチェンジのとき画面右上に出る目印のパンチマークも好きなのよ〜)映像のクリアさには拘らない方なんですが、それでも全体的に画面が明るくなったこと、舞台袖や観客席等、暗闇で潰れていた箇所に何があるか見えるようになったことがよかった。当時だってジョナサン・デミ監督は「そこにあるもの」を肉眼で見えるように撮りたかったのかも知れないものね。

しかし心底驚いたのは、映像よりも音の方。分離が! ハッキリ! 誰がどれ弾いてるか分かる! 特にティナのベース! 「自分の最大の貢献はアンプのボリュームを3以上にしたことがなかったこと」といっていたティナのベースの音がしっかり聴こえるのがすごくよかった。弾(ひ)くというより弾(はじ)く感じで、でもスラップではないとても個性的な音。

いやーもう最高よね、ティナ……仕草がどれもこれもかわいくて格好よくてさ。バーンに演奏を合わせるときの射るような視線、クリスの方を振り向くときの不敵な微笑、ヒールレスシューズでのステップ、そしてあのガニ股ダンス! 『ストップ・メイキング・センス』におけるティナの魅力は、映像のクオリティすら問わない普遍のものだと改めて感じ入る。

メンバー同士の関係性は決してよくなかった時期だ。実際、これがバンドの最後のツアーになった。それにも関わらず演奏は鉄壁かつエキサイティングなアンサンブルとなるところがマジックというか、音楽への献身というものは……としみじみする。イヤーモニターもなかった時代。ギミックじゃないのよ。

それにしても、このステージを映像に残すべく施された演出がホント素晴らしいな……と再認識。かなり考え抜かれたものだと思うが、実際始まるとこうもフィジカルなものになるものか。一曲ごとにひとりずつ登場するプレイヤー、少しずつ機材を持ち込み設営するスタッフ。メガネや電気スタンドといった小道具の使い方。バックドロップに映し出される画像(当時ならスライド?)、照明のオペレーションは手動だった筈だ。アンプには暗幕がかけてある。モノトーンに近い色使いのなか、終盤バーンが被るキャップの鮮やかな真紅が差し色になる。これは客席から投げ込まれたもので、最初から狙った演出ではないそうだが、そういったハプニングも演出の一要素に包み込んでしまう。

その“ステージ”をどう撮るか。3公演をひとつの作品にしてはいるものの、何しろライヴが始まったら中断は有り得ない。全てを長回しで撮っているようなものだ。舞台を袖から袖へ貫くショット。撮られる側にすらなるカメラクルー(彼らは大きなカメラを担いでステージ上を動きまわっている!)。画面に突然人物の頭部が入り込み、それが手持ち照明のスタッフだと判明する迄の数秒の衝撃(しかもそのスタッフ、バーンにマイクを向けられて唄う!)。エンディングになってようやく観客が次々と映し出される。ダンス、笑顔、熱狂。インカムをつけた男性スタッフふたりが肩を組んでステージを見守っている。その親密さ。

衣裳らしい衣裳を着るバーン、ティナ、サポートメンバーと、家から来たみたいな普段着のクリスとジェリー。終始楽しそうなクリスと、最後になってようやくちょっとだけ笑顔が出るバーン。バーン本人も当時の自分に「楽しい?」と訊きたいといっていた。こうしたちぐはぐさ、緊張感が、トーキング・ヘッズというバンドとこの映画の唯一無二の魅力になっている。これ迄も、これからも、不朽の名作。フォーマットをニューエスト・モデルに変化させつつ、何度でも観客の前に現れてほしい。

あんなに走りまわって唄うのに全然息切れしないバーンの若さが眩しいという話をして帰りました。はーまた観に行こう、『アメリカン・ユートピア』と二本立てもやってほしいなーってかこっちもIMAXで観てみたいよ!

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・『ストップ・メイキング・センス』4Kレストア版の驚くべき舞台裏 伝説のライブ映画はいかにして蘇ったか?┃Rolling Stone Japan
ジェリー・ハリスン「彼らはそれを映画館に戻したいと言ったんだ。ストリーミング配信だけだったら、アトモスで全編をリミックスしていたかどうか分からないよ。あれは空間オーディオだから、空間があることが重要なんだ」
ジェームズ・モコスキー(レストア主任)「これは3月のこと。A24はすでに公開を9月と設定している。彼らは、デカいスーツを着たデイヴィッドでトレイラーを作ってあり、〆切も決まっていて間に合わせなければいけない。それはつまり、これを完成させるには何もかも足りないということだったんだ」「まるで新品のようだった。損傷は全く無かった。あのネガフィルムにとって、紛失していたことは最高の出来事だったんじゃないだろうか」。
オリジナルのネガフィルムとオーディオ・トラックを探し出す迄のドラマ! マジでドラマ、“「探偵小説のような」舞台裏”。ジェリーのいう彼らとはA24のこと。A24に決まってからオリジナル・ネガフィルムを探したのね、逆だと思ってた。というか先にもうバーンがクリーニング店に行くトレイラー作っちゃってたというのもすごい……いやホント有難う大好きA24!

・というかこのトレイラー、クリーニング店のひとがアジア系(だよね)ってとこに、A24の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を思い出してああ、となる。そういう現実を教えてくれるのが映画、というのは今も昔も変わらないのかも

・『ストップ・メイキング・センス』製作秘話 トーキング・ヘッズ傑作ライブ映画を振り返る┃Rolling Stone Japan
クリス・フランツ「バンドを追いかけて、誰が何を演奏しているのか、どのカメラがどのタイミングで誰を撮影するのかをメモるのはサンディ・マクロードの役目になった。」
2021年の記事。当時ジョナサン・デミのガールフレンドだったサンディ・マクロードの貢献については別のインタヴューでもティナが強調していた

・映画『ストップ・メイキング・センス』4Kレストアクロス・レヴュー┃TURN
老齢化した白人である自分は何ができるのか? を、おそらく今のバーンは念頭に入れているはずだ。
それはしらけた理想主義かもしれないが、『ストップ・メイキング・センス』に唯一欠けていた軽やかさではないかと思う。そしてそれをアップデイトできたのは30数年後の他ならぬバーン自身だったということは記憶しておきたい。『アメリカン・ユートピア』を経たからこそ新たな息が吹き込まれた『ストップ・メイキング・センス』である、と。


そうそうNINのこと思い出してた……2013年のフジは『Hesitation Marks』ツアー初日でもあったので、ホントに初お披露目、ワールドプレミアだったのよね。観られてホントラッキーだった


パブロ・フェロのロゴが映えるー!



2024年02月03日(土) ■
『ジャズピアニスト・エレジー 南博Special「白鍵と黒鍵の間に」ライヴ アット 新宿ピットイン』

『ジャズピアニスト・エレジー 南博Special「白鍵と黒鍵の間に」ライヴ アット 新宿ピットイン』@Shinjuku PIT INN


いやー南さんの演奏久しぶり。お元気そうでなにより。

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・ジャズピアニスト・エレジー┃新宿区立 新宿文化センター
一部対談『映画化にまつわるマル秘語らい』:南博、魚返明未、冨永昌敬
二部対談『小説・原作にまつわるマル秘語らい』:南博、菊地成孔、村井康司
【演奏・対談】南 博(ピアニスト・作曲家・文筆家)
【ゲストプレイヤー】魚返明未(ピアニスト・作曲家)
【対談ゲスト】村井康司(評論家・編集者)、冨永昌敬(映画監督・脚本家)、魚返明未(ピアニスト・作曲家)、菊地成孔(音楽家・作曲家・大学講師)
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昨年の菊地3DAYSでフライヤーをもらい、その時点でチケット発売から3週間は経っていたので慌ててチケットをとる。整理番号50番とかで拍子抜け。新宿文化センター主催だったからかピットインのスケジュールには載っておらず(「レンタル」表記)、知らないひと多かったんじゃないだろうか。その後完売、盛況でしたがなんだか南さんのことも映画のことも知らないひとがぼちぼちいた。あれかな、新宿区のお知らせとかで知って「なんだか面白そうな催しだわ」と来たひとがいたのかも知れない。それでも当日夜にWOWOWで初回放送だったのでタイミング的には良かったのかも。これから観ればいいんだもんね。

……というか、私もまだ映画は観てないのです……原作は刊行時読んでる。映画観る気もめちゃめちゃある。予告編はものすごく観た(笑)。なのに封切り日以降どうにも時間がとれなくて……はーodessaのサウンドシステムで観たかったよう、映画館で観たいよう(泣)。

プログラムは上記の通りでしたが、実際には原作の編集者でもある村井さんが通しで全体の司会をなさっておりました。以下書いてもよさそうなところをおぼえがき。記憶で書いているのでそのままではありません。

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下手側にグランドピアノ、上手側にエレピ。南さんが登場してまずは一曲「ゴッドファーザー 愛のテーマ」。原曲にはない不穏なコードを端々に入れて、不穏やら怖いやら素敵やら。

■第一部『映画化にまつわるマル秘語らい』

冨永:刊行当時、僕の周りでは「あれ読んだ?」と話題でした。僕も勿論読んでいて、とても面白くて。その後南さんに会う機会があり、映像化したので預からせてくれないかとお願いして。でもそれからとても時間が経ってしまいました。やろうと進めていた制作会社のひとがドラマ畑に転職してしまったりして、なかなか動かなくて……でもやるなら映画で、と思っていたので
村井:原作を一夜の出来事にしたのは? そして南博という人物を南さんと博くんというふたりに分けたのは?
冨永:南さんが銀座にいた3年半…バブル前夜の80年代、銀座でふたつのお店を掛け持ちして、一夜で行ったり来たりして演奏して……そのエピソードが全部面白いんです。全てのエピソードを入れたら連ドラくらいの長さが必要になる。映画でやるなら、と全部を一夜の出来事にまとめました。そして、社会に出た青年がいろいろな体験をして、アメリカに旅立つ迄の成長……成長という言葉はあまり好きではないんですが、3年半の間に変化していく様子を映画の時間で見せるためにはふたりに分けるといいと思い立ちました。社会に揉まれる博くん、社会を知って達観した南さん
南:(映画は)面白かったです。映画では「ゴッドファーザー 愛のテーマ」は弾いちゃいけないって設定だったけど、実際は一晩に7回くらいリクエストが来て弾いてました。それを2店で、週に4〜5回、3年半演奏し続けて……頭がおかしくなるんじゃないかと(笑)。今日久しぶりに弾いてトラウマが甦りました(笑)

冨永:音楽は先に録音しました。それに合わせて役者さんたちが演奏するシーンを撮りました
村井:じゃあ、音楽が先に制作されたんですね
魚返:映像がない状態で作るのでたいへんだったところもあります。作品で描かれている当時のことは知らなくて、というかまだ生まれていなくて……(場内笑いとどよめき)
村井:池松(壮亮)さんが最後に演奏なさるシーンは……
冨永:実際に池松さんが弾いています
村井:常に音楽が流れていますよね。所謂キャバレー、クラブの演奏シーンだけでなく、登場人物同士がただしゃべっているシーンでも、楽器を演奏し乍ら話している
冨永:だから池松さんの仕事がより増えてたいへんになる(笑)

村井:松丸契さん出演の経緯は?
冨永:彼の作品のMVを撮っていたので、その縁もあって。原作に「K」って人物が出てくるんですよね。松丸くん、名前が契だし。K助って名前にしようと。で、出てよ〜とかいってて、でもなかなか制作が進まなくて何年か経って、忘れた頃に、ライヴが終わって上機嫌なときの彼に会いに行って楽屋で出演の了承をもらいました(笑)。
村井:役者をではなく本職のミュージシャンを選んだのは?
冨永:音楽に関する映画なので、役者さんに楽器の演奏を覚えてもらうより、ミュージシャンに台詞を憶えてもらう方がいいというか。演奏シーンはごまかしが効かないので
村井:松丸さん、よかったですよね。堂々とした存在感で
冨永:クリスタル・ケイさんは勿論本職ですし、高橋和也さんもバンドマン。佐野さんはギターで音楽活動されてて、ピアノはやらないけど音楽のことをよく知っている。そういう方に出てもらえてよかったです

南:(演奏シーン)オシャレでしたね。実際の現場はもっと雑然としていて、うるさかったです。その筋の方から断れないリクエストがきて、急いで譜面を書いてぶっつけで演奏して終始慌ただしかった。お客は一緒になって唄ったり怒鳴ったり……皆酔っ払ってるし。聴こえるように弾かないといけないのですごく大きくハッキリとした演奏をしていましたね
冨永:(「アキラのズンドコ節」という選曲)80年代に来ているお客ということは、50年代生まれくらいで、そのひとたちが好きそうで、オシャレでもいける曲ということで選びました

村井:(南さんの師匠である)宅孝二さんとのエピソードも印象的でした
南:東京芸大の教授だった方ですが、ジャズが好きで、キャバレーで弾いているところを見つかって、学校とケンカになってやめちゃったひとです
村井:当時ってやっぱりクラシック畑のひとがジャズをやるって珍しかったんですか?
南:珍しいっていうか、とんでもない! って感じ。柳家小三治さんがジャズ好きでね、遊びに行ったキャバレーで宅さんが弾いてて「あれー、どっかで……宅さん!?」「そうです」つってバレちゃった(笑)

魚返さんがエレピに向かおうとするところ、南さんが「こっち(グランドピアノ)で弾きなよ」と手招き。サントラから「Coming Now」を演奏。シャープで軽やかな音と指運び。その後魚返さん=エレピ、南さん=グランドピアノでデュオ演奏。南さんリラックス、魚返さん緊張感。

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■第二部『小説・原作にまつわるマル秘語らい』

南さんが映画『道』から「ジェルソミーナ」を演奏。素晴らしかったな……しみじみ。

菊地:今となっては珍しい、今日は俺がいちばん歳下の現場です(笑)
村井:原作のもとになる文章は最初から読んでいたんですよね
菊地:南さんの話っていつも面白くて、ジャズメンのそういう話って楽屋オチといったらあれだけど門外不出というか、楽屋でこういうことがあったんだよ〜って話してゲラゲラ笑って終わりって感じだった。でも90年代末からインターネットというものが出てきて、ジャズメンは皆工学部出身の水谷(浩章)さんにパソコンどれがいいって一緒に買いに行ってもらって、ネット接続のセッティングも全部してもらって。で、俺もだけど南さんもホームページを始めて、そこにテキストを書くようになったんです。で、俺が出版エージェントみたいなことをしたんだよね。南さんに「これ出版したいんだけど、どうかなあ」ていわれて「面白いから絶対本になるよ」って預かって。ホームページからプリントアウトしたゲラを持って、いろんなところに読んでって渡したけどずっと返事がこない、というのが何度かあって、その後村井さんのところに行って晴れて出版となりました

村井:ゾンビメイクで卒業式出た話が面白くて(笑)
南:トラで突然ゾンビバンドに呼ばれて、衣装も前のヤツのだからサイズが合わなくて。お面みたいなの被ってメガネかけられなくて譜面が読めない。そのあと卒業式だったんでそのままの格好で行って、当時(東京音大の)学長だった伊福部昭さんから卒業証書をもらいました
村井:伊福部さん驚かれたんじゃないですか
南:「お、おう…」って感じだった
菊地:まあね、(『ゴジラ』の音楽やった伊福部さんなら)怪物は見慣れてるでしょうからね(場内爆笑)

菊地:今でいったら反社といわれるひとがいちばんいたバブル前夜の銀座。反社って言葉も好きじゃないんですけど。粋なひとがいっぱいいて。そのなかで南さんが銀座をあっちゃこっちゃ行って演奏してた。南さんはダンディーだし、その時代の粋を持ってるひとですね
南:こないだ久しぶりに銀座行ったらなんだか明るくてね。寂しくなっちゃった

「映画のエンディングだからって大仰なのはなあって。口笛も吹きますね」とサントラからエンディングテーマの「Nonchalant」。軽妙でいて哀愁を帯びた名曲。そして魚返くんともう一曲一緒にやりたい、やろうよと南さんがいって、インプロ(多分)で一曲。静かな中にも火花散る演奏で格好よかった!