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2025年12月31日(水)
2025年あれやこれや

新旧問わず、今年記憶に残ったものを。★は特に印象深かったもの。

■映画
 『教皇選挙』
 『IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー』
 『ミッキー17』
 『脱走』
 『消防士 2001年、闘いの真実』
 『ハルビン』
 『ザ・ザ・コルダのフェニキア計画』
『ワン・バトル・アフター・アナザー』
 『空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯〜』
 『ポンヌフの恋人』4Kレストア
“現在”を色濃く映し出したもの、“過去”を悔いそこから立ち上がり前を向くもの、“未来”を憂いそれでも光を探すもの。映画には全てがある。レオス・カラックス、パク・ジョンミンの話を直接聞ける場にいられたことがうれしい。ファン・ジョンミンの舞台挨拶参加出来なかったのが悔しい。韓国映画の舞台挨拶はどんどん激戦になっていくのでたいへんだよ〜(泣)

■ライヴ
 『rockin'on sonic』(1日目2日目
 KYLIE MINOGUE TENSION TOUR 2025
 小林建樹『BLOSSOM』
 松竹谷清『春の2DAYS』
 折坂悠太『のこされた者のワルツ』
 SPARKS JAPAN TOUR 2025
 downy『夜の背骨』
 O.L.H.(Only Love Hurts a.k.a. 面影ラッキーホール)『みっつ数える前にあんたは… ひとつめの夜』
 高橋徹也 × 山田稔明『YOU'VE GOT A FRIENDーCan we still be friends?』
 SMASHING PUMPKINS ROCK INVASION 2025
高橋徹也クインテット『異郷』
 イ・ラン『SHAME』
oasis live '25 tour
 『ぼくらはここにいる パール兄弟2025』
 eastern youth『全国巡業公演〜爆音列島2025〜』
 『OBSCURE TOWER 2025』(感想書けたらあとでリンク張る)
アットホームなものとデカ規模のギャップが激しい! でもどちらもかけがえがない! 外タレのチケット代高騰苦しい! スマパンとoasisを今また観られる日が来ようとは! 情緒が乱れ切った一年でございました

■舞台芸術
 『終点 まさゆめ』
『ベジャールの「くるみ割り人形」』
 『オバケ東京のためのインデックス 東アジア編』
 『キティ』
 『リンス・リピート ―そして、再び繰り返す―』
 『ずれる』
 『野田版 研辰の討たれ』
 『震度3』
 『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』
 『M』(初日楽日
『だれか、来る』
 『焼肉ドラゴン』
やっと観られたベジャールの『くるみ』。毎年恒例にしてほしい……「行かないでくれ、終わらないでくれ」と胸がかきむしられるような一幕の幕切れだった

■舞台芸術番外編
 おかえり維新派屋台村
二度と会えないと思っていた維新派の屋台村が日比谷に現れた。今でも夢だったのかなと思っている

■展示
 須田悦弘展
 江頭誠『愛犬!発見!!大冒険!!!』
 伊藤ゲン展(ギャラリー十二社 ハイデGALLERY33
 『ヒロシマ1945』
 『終戦 戦争の終わりと戦後の始まり』
 『記録をひらく 記憶をつむぐ』(123
 『ふくいんかんのえほんやさん』
 『三上晴子と創造のミーム』
Blueskyの過去ログを検索するノウハウをまだ身につけていない(課題)……展覧会の感想はテキストサイトに書いていないので、初の試みでツイートにリンク張ってみました。画像があるといろいろ思い出せて良い

来年も宜しくお願い致します。



2025年12月21日(日)
『焼肉ドラゴン』凱旋公演

『焼肉ドラゴン』凱旋公演@新国立劇場 中劇場

芝居納めは『焼肉ドラゴン』凱旋公演でした〜 前回観たときよりは歴史の解像度が多少上がっているので気づきも多かった。アボジとオモニが国に帰れなくなった背景には済州島4・3があったんだな…

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Dec 21, 2025 at 23:56

いい千秋楽でした。ひと区切りの最終公演(四演!)ということもあるけど、作品の中の登場人物と会えなくなることが寂しく、笑顔で彼らを送り出さねばと拍手を送り乍らも涙はとめどなく流れる。万感の思い。

前回観たのは2016年。このとき済州島4・3事件のことを初めて知ったのだった。韓国映画を集中して観るようになってから、数年経った頃だった。その後、映画や書籍を通してより詳しく背景を知っていくことになる。本国でも根深くタブーとされていた出来事で、今でも口を閉ざしているひとは多い。

彼らにとっての未来から、観客はこの物語を見ている。北へは行かない方がいい。南にも、せめて1987年迄は帰らない方がいい。その思いは届かない。『兎、波を走る』のとき野田秀樹が話していたし、最近では徐台教『分断八〇年 韓国民主主義と南北統一の限界』でも指摘されていたが、当時の北朝鮮は経済的にも韓国より盛えており、社会情勢も安定していたのだという。「地上の楽園」という言葉は、あの時代において決して嘘でなかったし、日本も帰国事業を推奨していた。長女夫妻の移住は、ひとつの選択肢として“アリ”だったともいえる。済州島4・3のことにしても、島へ帰れなかったことであの夫妻は助かった、ともいえる。帰っていれば皆が殺されていたかもしれないのだ。

しかしそんなたらればは、未来がどうなるか知らない当時のひとたちからすれば何の役にも立たない。彼らはそのとき、そのときで、そうするしかない選択をした。賢い長男を私立の進学校に入学させたことも、学歴社会を生き残っていくために最善の策だと思ったのだ。誰も責めることは出来ない。ただただ歴史に、植民地支配と戦争に歯軋りすることしか出来ない。長男の名前は時生。時を生きる彼は、その全てを見ている。北へ行った長姉、南へ行った次姉がその後どうなったのか、彼はきっと見ることが出来る。父や母が知ることが出来なくなる(かもしれない)娘たちとその夫たちの行く末を見守っている。

鄭義信は、どんな悲しみをも笑いに転じる。その逞しさは、転じればそうしなければ生きていけないということでもある。人生はいつも自分の思い通りにはならない。それでも明日はきっといいことがある、と信じて生きていく。それを描く。

凱旋公演の初日前にキャスト変更のお知らせがメールで届く。キム・ムンシクが体調不良のため降板、代役で趙徳安。椿組所属で、『焼肉ドラゴン』には初演から演出助手や字幕操作等で参加していた方だそう。ずっと作品に関わっていたからだろう、最初から出ていたかのようにめちゃくちゃ馴染んでいた。そして松永玲子が負傷につき若干の演出変更(乱闘シーンがちょっとおとなしくなっていたかな。水を使うシーンも減っていた)。こちらは事前のお知らせがなく、当日劇場の掲示で知り驚いた。初日開けてから怪我したのだろうか……松葉杖をついての登場にギョッとするも、当人はもうこうするしかないだろ、という気風のよさで「骨折してますけど〜」とネタにしていた。そっくりな姉妹二役を演じていたので「ふたりとも骨折してますけど〜」といったときはドッとウケましたね……いやはやおだいじに!

前回の三演(2016年)は日韓関係に隙間風が吹いていた頃。その煽りだったかは判らないが、四演中唯一韓国での上演がなかったのだった。キャストも初演、再演とは結構演者が入れ替わっていたが、当方初見がその三演。櫻井章喜の続投をうれしく思う。彼の演じる常連客は、自分にとって目標ともいえる人物像なのだ。オリジナルキャストのコ・スヒでオモニを観られたこともうれしかった。勿論三演のナム・ミジョンオモニもずっと大好き。朴勝哲と崔在哲のパンソリは幕間のロビーを盛り上げる。楽しい時間と、もうすぐお別れの寂しい時間。

オモニは荷台にドッシリ鎮座している。アボジはリヤカーを全力で引く。泣き笑いで見送る。さよなら、さよなら、元気で、元気で。でも本当は、また会いたい。

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島次郎さんの遺した名美術ともお別れ。松永さん画像残してくれて有難う、客席からは見られないアングルも。見られてうれしい!

・日韓に橋をかけた『焼肉ドラゴン』の旅┃内田洋一┃note
歳月はこの劇の受け止め方に変化をもたらした。たとえば、重要な逸話として語られる済州島四・三事件への客席の反応。(中略)認識が定着しただろう現在、島を襲った南北分断の悲劇が日本の「在日」社会に飛び火していたという日韓共通のドラマとして受け入れられたのではないだろうか。
次女の夫が疎外感から「北」への帰還運動に加わることを決意する衝撃的なせりふでは、失笑が起きた。(中略)韓国の観客は笑うべきナンセンスと受けとめたようだ。
内田洋一さんの書かれたソウル公演のレヴュー。現代の韓国の観客から観る1970年代の朝鮮半島事情みたいなものも透けて興味深い。今年日本でも公開された映画『脱走』は、脱北する兵士と追手の高官がゲーム感覚で描かれ、その軽さがちょっとした物議を醸していた。当時を知るひとが減っていき、南に住む若い世代が北に抱く感覚も恐らく変わってきているのだろう。
ソウル公演が行われたCJトウォルシアターは、ファンジョンミン主演の『오이디푸스(オイディプス)』を観に行ったな。また行きたいなあ(泣)

・物販が大混雑、列整理も出来てなくて(あれはいただけない)、そのあと待ち合わせしていたので時間が足りず購入断念。10月の小劇場公演ではキンパ、チヂミ、チャプチェのお惣菜盛合わせとかマッコリ、ジュースもあったらしいんだけど今回はあったの? 全然見えなかった。タイガータオル買いたかったよおお、すごくかわいかったの!



2025年12月20日(土)
『ポンヌフの恋人』4Kレストア、eastern youth『全国巡業公演〜爆音列島2025〜』

『ポンヌフの恋人』4Kレストア、eastern youth『全国巡業公演〜爆音列島2025〜』

1分で移動出来て助かる。濃いハシゴだった…

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Dec 21, 2025 at 0:41

同じ通り(ランブリングストリートなんて名称がついたのはいつから?)にある映画館とライヴハウス。『ポンヌフ〜』終了時点でもうO-EASTは開場していたけれど、開演には余裕で間に合い2階のいい位置を確保出来た。

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『ポンヌフの恋人』4Kレストア@ユーロスペース 2

移動が楽なハシゴだったが休憩する暇がなくさっき今日(昨日)初めてのごはんを食べた 壮観のユーロスペース

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— kai (@flower-lens.bsky.social) Dec 21, 2025 at 1:11

4Kだけどユーロは2K上映。それでもユーロで観ない選択肢はないし、2Kでも映像のリフレッシュっぷりはバリバリに体感。それにしてもこの看板、いいですねえ。レオス・カラックスとホン・サンス、同い歳の監督ふたりの特集上映が同時に組める映画館。

前回観たときは既にかなりフィルムが傷んでいて、明らかに損傷している箇所もあった。傷だらけのふたり、という意味ではそれも効果になっていた。しかし! 4Kのクリアっぷりは素晴らしかった〜! 猫の毛並み! ビノシュの肌のキメ! 涙の筋! 夜の川面に反射する光が冬空の星のように輝く! あとなんだ、ふたりがマッパで駆ける浜辺のシルエットが以前よりクッキリしている(笑)! 音響もブーストされていた印象。チェロのストローク! 猫のゴロゴロ! ハンスとミシェルの心臓の鼓動! アンプルをバッグから出すときの衝突音!

そしてやはりやはり、圧巻は花火のシーン。色彩が抜群に鮮やかになった。閃光、ダンス、ラジオのエアチェックを思わせるDJエディットな音楽の洪水。作品世界にどっぷり溺れる至福の125分。

あの時代の街(セットだけど。そこがまたすごいんだが)とそこに生きる人物は永遠に焼き付けられ、何度でも甦る。この作品に関わった、今はこの世にはいない人間も、犬(テオ!)も、作品のなかでは生きている。ジャン=イヴ・エスコフィエも、堀越謙三も。映画館で再会出来てうれしい。

ところで身構えて待っていたので気のせいではないと思うんだけど、ラストの「まどろめ、パリ!」の台詞がなかったよ……? 字幕も音声も。編集した? 気になるのでもう一度観たい。そして今更だがそのラストシーン、船首にふたりで立つところって『タイタニック』の原型だったんだな……。いや、はなからそこが繋がると思ってなかったので、今になって気付いた次第(遅)。
(20251225追記:SNS検索したら「『まどろめ、パリ!』がなかった」と書いているひとをを複数確認したのでやっぱカットされてるっぽい。何故)

パンフレットといえば、「(今のコンプラ的に)新世代がひいてしまう要素がないだろうか」「いや、別にひく要素ないんじゃないかな」という三浦哲哉とゆっきゅんの対談が載っていた。個人的には年月を経ていちばんヒッとなったのはミシェルが酒に眠剤入れたとこだな……おまっ、眠らすだけじゃ済まないかもしれんがな! アレックス死んだらどうすんだよ!!! 死ななくてよかったよ…まあそのあとがたいへんなんだが……。で、捕まったアレックスがリンチに遭う(あれ、リンチだよなあ。取り調べの域越えてるもの)ところもヒィとなったが、観ていると一定のリズムで殴られて蹴られてるんですよね。もはや音楽。ある意味感心した。あとあれだ、投げたものが猫に当たらなくてよかったとか。動物はどっちに動くか振り付けられないからね……。

そうなんです、若者の観客がすごい沢山いたんです。多分スクリーンで初めて観るんだろうな、という感じの。いい出会いになるといいな〜。

大島依提亜によるリデザインのマーチも充実。ポスターもパンフも格好いい! 雨だった+ハシゴだった+上映の物販の混雑っぷりがすごかったのでポスターは諦めたんだけど、改めてポスターだけ買いに行こうと思う(翌週月曜日に買いました)。

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eastern youth『全国巡業公演〜爆音列島2025〜』@Spotify O-EAST

曲間の繋ぎがほぼインプロなんだけど、コードでもう次が何の曲かわかるひと多すぎ(にっこり。ワタシもな……)。リフの欠片が出た時点でどよめきが起こる。村岡さんが加入してもう10年(村岡さんのこのツイートを見て気付く。もうそんなになるか!)、ここ数年のeyのライヴにおけるこのブリッジセッション、大好きなのでした。

という訳で全国ツアーは久々、18本という数に「ダメかも、無理かも。俺たちおじいちゃんだし。いや、レディがひとりいますけどね」(「村岡さーん」と歓声)「話かけんなゴルァ!……いやいや、いんですよ……で、スタッフにいやいや行けますって、大丈夫ですって、っていわれ乍ら始まったんですが……意外と大丈夫だったんですよ。全然いけるな? と思って」(大歓声)。いやはやすごいツアーファイナルだった。「機材は行った先々で借りたやつを使ってたんだけど、今日は自前のを使える」。アンプの上に載せてるあれこれもツアー先ではちょっとだけ持っていってたとのことだったけど、この日は全揃いでした。あのこけしとか、中指立てた木製ハンドモデルとかね。そこから今はない札幌のお店の話になって、「憎らしい親父がやってたけど今はもうない。タワマン建てるってんでお店閉めて更地にしたんだけど資材不足でタワマンは建たず、今は駐車場になってる」。なんかこの日の吉野さんは穏やかな感じだった。演奏と歌は鬼神だった。

タモさんはハレの日に着るサテンのシャツ(前も見た気がする)。「タモさーん!」「タモさーん」と声が飛ぶも無だったタモさん、あまりにも呼びかけが続くので優雅に手を振りフロア大喜び。吉野さん曰く「あいつに声かけても全然答えないよ、俺が声かけて無視する。パンダと一緒ですよ、皆パンダに『シンシンちゃーん』とかいってもあいつら全然聞いてないで笹とか喰ってるじゃん。田森は九つの頃から知ってるけどずっとそう」。突然ズッ友なトークをぶち込まれちょっと狼狽しました。盟友よね……。

村岡さんにMCを促す吉野さんという流れも美しく(インプロ区切りでどうぞ! みたいな感じで腕を差し伸べた)、村岡さんが「ツアーの先々でいろんなお客さんに会って、皆このバンドのことをどれだけ大切に思っているかということが伝わってきました」とお話したことにも胸が熱くなりました。生きる〜!

それにしても「夏の日の午後」〜「砂塵の彼方」の流れはすっごかった。何度聴いても吉野さんのギターどうなってんのかわからん。なんでひとりであんだけ弾けるのそして唄えるの? 最高でした。あと今回なかなかレアな選曲だったかと。最新作『2020』からのナンバーは当然として(アンコール1曲目が「あちらこちらイノチガケ」だったのには痺れた)、ワタシ「ズッコケ問答」をライヴで初めて聴いたかもしれない。

客出しの1曲目はザ・モップス「たどりついたらいつも雨ふり」。雨降ってたもんね、粋〜。なんですぐモップスヴァージョンだとわかるかというと、第三舞台の刷り込みがあるからです。反射で泣く。2曲目はわからず。

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setlist(参照させて頂きました、シェア有難うございます!)
01. 夜明けの歌
02. 沸点36℃
03. 今日も続いてゆく
04. サンセットマン
05. 夏の日の午後
06. 砂塵の彼方へ
07. グッドバイ
08. 踵鳴る
09. 静寂が燃える
10. 青すぎる空
11. 素晴らしい世界
12. 矯正視力〇・六
13. ズッコケ問答
14. 雨曝しなら濡れるがいいさ
15. ソンゲントジユウ
16. 時計台の鐘
17. 一切合切太陽みたいに輝く
18. 街の底
encore
19. あちらこちらイノチガケ
second encore
20. DON QUIJOTE
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またね〜! 絶対ね〜!