見つめる日々

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2003年12月18日(木) 
 昨日午後から始めた2hほどのインタビューのテープ起こしは、夕方娘を迎えに行く前にまだ終わらせることができず。焦りながら寝つきの悪い娘を寝かしつけ、そうして真夜中から再び奮起して、明け方、ようやくテープ起こしを終わらせる。
 その前には画像加工の仕事、次にはHTMLの仕事、それからこのテープ起こし。引越しにぴったり合わせるかのように仕事が山積みになって、最初はどうなることかと思った。でもやってみれば何とかなるもの。できないと思って諦めるより、とりあえずやってみる。やってみればほら、何とかなるんだ。そうそう、何とかなるもんだよ、たいていのことは。

 仕事を終わらせた爽快感から、洗濯、掃除、次々やってみた。
 今度引っ越した部屋はとても古くて、網戸がない部屋なのだけれども、その窓という窓を開け放してあちこち動き回る。途中で蝿が一匹入ってきて、虫が嫌いな私は閉口したのだけれども、それも何とか追い出して今に至る。
 ちょっと一休みということで、インターネットに繋げてみる。ふと思い立ち、私の夢の中に出て来る虫がどんな虫だか、それが現実にあり得るものなのかどうか、調べてみることにした。
 蜘蛛という蜘蛛を片っ端から探してみる。あの虫は蜘蛛以外には思いつかない。
 そうして、アシダカグモとジョロウグモの画像に見入る。
 なんとなく、似ているなぁと思う。でも。
 大きさが全然違う。私が幻視している代物は、私の頭とかわらないくらい、そのくらいの大きさがあるのだ。
 昨夜も奴を見た。娘がようやく寝入って私が安堵して見上げた天井の隅に。一匹が二匹になり、三匹になり四匹になり…。あっというまに増殖するのだ、彼らは。
 いや、もしかしたら彼らじゃなく彼女らなのかもしれない。突然そう思う。だって、私の中に卵を産みつけようとしたのだから、奴らは。
 でも、雄でも雌でも、男でも女でも、そんなことはどっちでもいい。
 私には、その存在そのものが、恐怖なのだから。

 今度の部屋は、南西に向いているから一日中部屋の何処かしらに日が差し込む。娘を喜ばせようと思って選んだカーテンは橙色。ついでに、娘に選んでもらった私のパジャマも橙色(私は水色を選ぼうと思った…)。今までの私の生活にはあり得ない明るい色がいっぱい。
 窓の外は味気ない住宅街で、窓のすぐ外は大きな道路で車の音が絶えない。
 それでも。
 何だろう、もう三十年もここに建っている建物の味なのだろうか、着慣れたシャツのようにしっくりと馴染んでくるものがある。そして、玄関を開ければ広がる小学校の校庭。毎朝この校庭が見せてくれる景色は、私に深呼吸を思い出させてくれる。

 椅子にぼんやり座り、まだまだ片付かない本の山、ダンボールの山を眺めながら、煙草に火をつける。
 あぁ、もうじき太陽が堕ちてゆく頃。あの銀杏の樹も黄金色の葉をさらさらと風に舞わせている頃。

 気がつけば珈琲の湯気も薄らいで。
 さて、もう一踏ん張りしますか。せめて辞書の類くらいは本棚に並べておきたい。


遠藤みちる HOMEMAIL

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