2004年01月08日(木) |
裸ん坊になった木々たちが、北からの強風に体を晒している。くわんくわんと揺れる枝に目を凝らすと、固い固い、小さな、砂利粒のような新芽を幾つもそこに見出すことができる。葉を落としたそばから、もう次の命を孕んでいるとは。自然の営みとは実に不思議だ。 そんな自然と私たちとは、多分別物じゃぁない。もっと言えば、きっと繋がっている。あぁもう駄目だと倒れ臥すそばから、人は、次に立ち上がるための力をその内奥に沸き上がらせている。それがもしその時、倒れ臥した本人には気づき得ないくらい微かなものであったとしても。 見上げれば澄み渡る空。思いきり、そしてゆっくりと、息を吸い込んでみる。閉じた瞼の裏にも光は滲み、やがて世界は白い光の洪水になる。そして胸の中には、澄み切った空色が、徐々に徐々に広がってゆく。 事件から今年で十年目を数える。一体この十年は何だったのか、ではなく、この十年があったからこそ私は今ここにいるのだ、と、そう思えるように私は生きたい。 深呼吸を終えて、ゆっくりと瞼を開ける。吹きつける北風に私は背筋を伸ばす。さぁ今日も、一日が始まる。 |
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