2005年06月09日(木) |
久しぶりに自転車に乗る。しっかりハンドルを握っていないとふらふらするので、普段ほったらかしのブレーキを今日はしっかり握り、そろそろと走る。途中、以前住んでいた家のすぐ近くを通ると、あの池の公園は鬱蒼とした緑に埋もれていた。自転車を止め、深呼吸してみる。緑独特の匂いが胸の中に広がる。日当たりの良い南向きの場所に植わっている紫陽花は、さぁ見て頂戴といわんばかりの誇らしさでもって咲いている。輝くほどの蒼色が、小さな宝石のように寄り集まって、それは溜息を漏らしたくなるほど美しいのだった。 用事を済まし、家に戻るともう昼過ぎに。おかゆを作って食べる。が、体調がどうもおかしい。昨日一昨日辺りから倦怠感が体中に広がり、関節が痛んだりする。体温計で計ると、38度台と35度台とをいったりきたりしている。この頻繁に繰り返される熱の上がり下がりが私にどさりと覆い被さってくるので、足元はふらつくし頭もふらつくし、要するに、よれよれ状態になる。 仕方なく、少し横になってみる。横になってしまうと、もう起き上がりたくないほど体が布団に沈み込んでゆくのを感じる。あぁやばいな、これじゃこの後やらなきゃいけないことが何もできなくなりそう、という危険を感じつつ、私はいつのまにかうつらうつらする。そして起きあがり、あまりに節々が痛むのでモーラステープを体のあちこちにはっつけてみる。これで少しはマシになるだろうか。 こんなとききまって思い出すのは、同種の被害に遭い、同じようにPTSDを抱え込んでいながらも毎日頑張ってる数人の友達の顔だ。今頃きっと、Aはパニックを起こしながらも必死に机に齧りついて頑張ってる、Sはふらふらする意識を何とか支えて踏ん張ってる、YはYで自分を元気にするために必死に足を踏ん張ってる、Cも…。さぁ、私もこんな悠長に横になんかなっていられない。することはきちんとこなしてゆかなければ。
夕刻が近づくにつれ、空には薄灰色の雲が広がってゆく。西の空に夕焼けはない。そういえば、ずいぶん太陽の沈む場所が右に移動した。ついこの間まで、この席で横を見ればすぐ見えた夕焼けが、今は振り向いてベランダの方に少し身を乗り出さなければ見えなくなってしまった。それだけ夏が近いということか。私の苦手な夏が今年もどんどん近づいて来る。 灰色の夕空をそうしてぼんやり眺めている。ふと見れば、右下のプランターから、三本のサンダーソニアが伸び上がり、もう早速、蕾をぶら下げ始めている。私がどんなにぐらぐらとあっちこっち揺れながら歩いていたって、彼らはそんなのお構いなしに、自分のペースで季節を過ごしてゆく。来週にはもう、一つ目のあの明るい橙色の花が見られるかもしれない。私は手を伸ばし、蕾をひとつ、ぷるんと触ってみる。ぷるるんと揺れる蕾。生きている、証。 |
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