2005年11月18日(金) |
切り口がぱっくりと口を開けると、少しばかり私は安心する。血が滴れば、また少し安心する。けれど、血の滴りがやがて止まり、傷口が乾いてゆこうとすると、私はもう早速、不安と虚無とに苛まれる。そして。 安心なんて代物は、何処まで行っても刹那的でしかないことを、それは私にこれでもかというほど教えてくれるのだった。 切らないと不安。だから切る。 切っても不安。だから傷口を抉じ開ける。 血が滴らないと不安。だから沈黙しようとする腕を無理矢理に絞り上げる。 何をしても虚しい。だから私は足掻く。 そうでもしないと、この瞬間にも私は虚無と不安とに呑み込まれ、あっという間に何処か別の世界に連れていかれてしまう、そんな気がして。 それでも。 何をしても、虚しい。私を疲労させるばかりで、私は、今夜もまた、自分で自分を疲れさせる。 こうなるともう、止まる場所を失って、私はひたすら、己の腕に刃を振り上げ続ける。出口も入口もない、窓のひとつさえ見当たらない、そんな溜まりの中で、私はじっと膝を抱える。 |
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