2005年11月19日(土) |
何という場所か、名前され知らぬ場所だった。ぼんやり眺めていた頁の端っこに、その場所の景色の欠片を見つけた。小さな画だった。見過ごしてもおかしくないような画だった。でも、私の目は留まった。行こう、ここに行ってみよう。そう思った、真夜中。 電車の中、眠くなかったわけじゃない。前の日も前の前の日も殆どまともに眠れていない自分なのだから、いい加減電車に揺られれば眠れるのではないかと期待した。でも、無駄だった。眠れぬまま電車は、T駅を越える。数駅前のS駅を過ぎた辺りから、地平線を越え出した太陽が、瞬く間に発光し始める。
PTSDで死ぬのではなく、身体的病で死ぬなんて、嫌だと思った。ここまでこんな必死に生き延びて生き残ってきたというのに、身体的病で死ぬ? 考えただけでぞっとする。 以前、Cちゃんが言ってた。友達がね、末期癌なんだ、でね、私、正直に言うよ、ちょっと羨ましかった、私も早く死にたいって思った、ねぇ、PTSDで狂ったまま生かされて死んでゆくのと、そうやって病気に侵されて死ぬのと、どっちがましなんだろうね。 その時は、いまひとつ彼女の言葉に近寄れず、あやふやにしか答えられなかった。でも、今なら応えられる気がする。私は、癌なんかで死にたくない。いや、他の何の肉体的病でも死にたくない。どうしても病に侵されて死ねというなら、それは、PTSDがいい。それ以外の病で死なされるなんて、まっぴらごめんだ。
電車は走る。走り続ける。私はじっと、身を任せている。 |
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