愛より淡く
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昨夜お風呂に入っている時に夫が帰ってきた。脱衣場の戸をガラッと開けて、ただいま♪と歯切れよく言ったので、おかえり♪と歯切れよく返した。 私は湯船の中にいたので、「足洗ってもいいよ」と声をかけた。
一応両手で胸を覆って隠していた。まあ隠すほどもない胸なのですがね。おほほほほほほほ。
夫は機嫌よく足を洗っていた。ふと気がついた。視線をこっちに向けようとしない。うつむいて自分の足だけを見て洗っている。
なんでやねん!!目の前に湯気にまぎれたすんばらしい裸体があるというのに。ちょっとムカッときた
あんなヤらしい雑誌の目ばりバリバリの怪しげな裸体は喜んで見ているくせに、妻の裸体は見れんゆうんか?失礼なやっちゃ!許せん!
なんて視線をどうしてもこっちに向けようとしない夫の足元を見ながら、湯船の中でひとり、心の中で、怒りまくっていた。
「あーたゥ久しぶりにごいっしょしませんか?お背中でも流しましょうか?遠慮せずに入っていらして」
なんてことは言えるはずもなく
「おでんいっぱい余ったから今日も食べてな、今日はじゃがいもと結びこんにゃくとにんじんも足したから、にんじん入れると苦味がとれるんやて。あんたのおかあさんに教えてもろてん」
などと気がつけば、湯船の中で両足を交互にバタバタ動かしてながら、色気もなにもないことを口にしていた。
「そうか、温めて食べとくわ。白菜も早く食べないと悪くなるからな」
「昨日また新しいの持ってきてくれはったで」
「いやそれでもかなり悪くなってる」
「ホウレンソウのおひたしも食べや。パーシャル室に入ってるわ」
めっちゃ所帯じみた会話だった^^。話しているうちになんだかもうどでもよくなってきて投げやりになってしまったのだ。
結局夫はほとんど私を見ずに行ってしまった。しくしく。
そういえば私は、生まれてこの方「誘惑」というものをしたことが一度もないことに気がついた。これからもたぶんないだろう。所詮誘惑する度胸などこの私にはない。よよよ。
それによく考えたら「誘惑」ができたらこんなところでウダウダ言ってないかも。そうよね〜そうだわ〜。
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