愛より淡く
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2003年02月01日(土) 私が壊れるに至るまで その6 動かぬカラダ

出産後ずっと私は眠れなかった。いや、少しくらいは、うつらうつらと眠れていたのかもしれない。だけど、「眠れない。」という思いに絶えず煩わされていたことだけは確かだった。

ぐっすり眠れた。という満足感が全然得られなかった。


お産がすむと、日を追うごとに回復してゆくのが普通だろう。

なのに、私は日を追うごとに悪くなっていった。

自分でもおかしいと思った。

だんだんと、自分の身体を自由に動かせなくなっていった。

すぐ近くにあった、箸すら取れなくなっていた。

起き上がることすらままならなくなってしまっていた。

だるくてだるくて全身に力が全く入らなくなっていたのだ。


しかし、私は、ある年配の助産婦さんに病室のみんなの前で、一喝されることになる。


「あんた何甘えてるのん、お産みたいなんは、病気ちゃう。そんなボサーっと寝てんと、さっさと身体を動かさんとあかんよ。他の人見てみなさい。さっさと動いてはるでしょ。あんたもお母さんになったんやからもっとしっかりせんと云々」

その助産婦さんにしてみれば、私ひとりだけ、布団の中で動かないでいるのを見て、なんとも無気力で、ふがいなく感じたのだろう。

叱咤激励のつもりで言いはったのだろうけれど、私は、その助産婦さんの言葉に大いに傷ついた。

あの時、私のカラダだは、ホンマにゆうことがきかんかったんや。動きたくても動かれへんかったんや。

それでも私は、歯をくいしばって、起きた。もしかしたら、他の人もこんなふうに動かぬカラダを無理やり動かして、がんばったはるのかもしれないとも思ったし。

母になることは、たいへんなことなんだと身にしみた瞬間でもあった。

せやけど、ほんまにこんなにしんどいん?

一歩足を前に進めるのにも死ぬほど大変だった。

いくらなんでも、やっぱりおかしいで!!

その時病院の誰もが、そんな私の異常に気がつかなかった。




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テキスト庵さん