愛より淡く
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2003年02月09日(日) |
☆私が壊れるに至るまで 死神 |
出産5日目に起こったことを、なるべく順を追って、思い出そうとしているのだけれど、どうもうまくゆかない。
二人の看護婦さんにすがりついて
「死にたない。死にたない。助けて。助けて」
というようなことを叫んでいた記憶だけは、かろうじて、ある。
その時の看護婦さんの、困惑しきった目のことも記憶に残っている。
山本(仮名)さん、助けてください。
田中(仮名)さん、助けてください。
二人の看護婦さんの名札を見て、彼女たちの名前を叫び続け、何度も何度も命乞いをしたのだった。
あの時の私は確かに死神の気配を感じていた。死神が自分の魂を奪いに来るという妄想に取り付かれてしまっていたのかもしれない。
死神が迫ってきている。ああ、助けて。助けて。怖い。こないで。逃げなくては。でも身体が動かない。助けて。助けて。苦しい。怖い。
そのうち、だんだんと意識が遠のいてゆき、目の前が真っ暗になっていった。
自分の叫び声だけが、闇の中にこだましていた。
そのうちだんだんとその声も遠ざかり、私は完全に意識を失った。
気がついた時は
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