愛より淡く
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2004年05月12日(水) |
もっと恋せよ営業レディ その2 |
その人は別の課に所属していて、私たち営業を、より専門的な知識でもって、サポートしてくれる人だった。
東京出身で、どことなく洗練されていて、話し方がとてもスマートだった。
私は、その人に対して、最初興味もなにもなかったけれど、一緒に仕事をしているうちに、次第に惹かれていった。という感じ。
恋とは、だいたいそんなふうにして始まるものなのかもしれないけれど。
私は、いつも直感で好きになる、というか一目惚れするタイプだったので、いつのまにか好きになっていたということがあんまりなくて、その人を好きになったパターンは、珍しいケースでもあった。
といっても、私は自分の気持ちを相手に伝えたりすることができず、自分から積極的なアプローチなどできるはずもなく、それどころか自分の気持ちを悟られるのが気恥ずかしくて、逆に素っ気無い態度とかとってしまったりした。
「私は貴方のことなんてなんとも思っていないのよ、ふん」っていう態度をついついとってしまうのだから、もう最悪。
思うに、私は、生まれついての「片思い体質」なのかもしれない。
そういえば、片思いで終わってしまう恋の多かったこと多かったこと。 ほとんどそればっかりだった。よよよよよよよよ。むせび泣き。
それでも、その人とは仕事でいっしょになれる機会が多かったので、それなりに充実していて楽しかった。 いろいろ打ち解けて話せるような間柄にもなれたし。冗談とかも言い合えるようになれたし。
当時の私は、歩きで外回りをしていた。テリトリーは神戸市中央区だった。
今は地名が変わっているかもしれないけど。
毎日毎日、重い鞄を持って、主に神戸のフラワーロードとトァロードを行ったり来たりしていた。
たまに足を伸ばして神戸税関あたりまで行ってみたり、波止場をうろうろしたり、歩くことはそれほど苦にならなかった。
ちょっと疲れたら、神戸地下街にもぐってお茶したりしていた。
そんなある日、私がハナウタで「10人のインディアン」を唄いながら
花時計の前を歩いていた時のこと。うしろから、その人にワーーーって驚かされたのだ。
びっくりした。心臓が止まるかと思った。
テンリトルインディアンズボーイ♪のところで
いきなり、ワーーーだもの。
あんまり私が驚いたので、その人はケラケラと笑っていた。
思うに、いたずらっ子で茶目っ気のある人だった。
仕事の時は、そういうところをおくびにも出さず、いたってクールな切れ者という感じだったので、そのギャップがなんとも新鮮だった。
「なんかしょんぼりしながら歩いてたからさあ、こいつ、また契約決まらないのかな。って思って、励ますつもりでおどかしてやったのさ」
というようなことをその人は言った。
「しょんぼりなんかしてませんよ。機嫌よくハナウタ唄って歩いてたくらいですから」
「なに?なに唄ってたの?」
「10人のインディアンですよ。ワンリトルツーリトルスリーリトルインディアンって、なんか楽しくなりません?」
なぜだかそのことがその人には大いにウケたみたいで、その人は「そりゃあ傑作だ」と、しばらく笑っていた。
そんなふうなやりとりが何度かあったある日
私は、まじまじとその人に見つめられて、しみじみと
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