嫌いな食べ物「キュウリ」
普通の言葉からさよならを受け取った。ふと合わせた視線からさよならを受け取った。友達だったけどもう終わった。何が原因かとかそういうことを何も私は知らないけれど、それならそうなんだろうと思った。現実とはそういうもの。
昨日は。
煙草を吸った。卵を溶かした。林檎を二つ、磨いた。柿を磨いた。身が崩れた。
来なかった返事も、来ないものだと思った。だから待って無い。泣かなかった。だって辛くないから。だって苦しくないから。だって哀しくないから。現実がそうなんだから。辛くなったり苦しくなったり哀しくなったりすることは無い。感情が無かった。
今日は。凶暴猿のニュースを見た。被害女性の傷を見た。笑った。明日の天気予報を見た。笑った。チーズのCMを見た。笑った。何も面白くなかった。でも現実とはそういうもの。
今日は。ピーターパンを見た。皆が笑って、皆が歌って、皆が楽しそうだった。海賊も。楽しそうだった。フックは鰐に怯えていたし、ウェンディは嫉妬に燃えていたし、ピーターパンは相変わらず馬鹿だった。あたしはそのとき泣いた。現実なんてそんなもん。何も哀しいことなんてない。
だって明日はあたしキスする。独りじゃない。だから現実なんて要らない。現実は決まってるから、現実に感情は要らない。あたしはずっと現実じゃない世界にいるから。
煙草がどんどん減っていくのも別に意味なんて無い。現実なんてそういう仕組みだから。あたしはピーターパンで泣いたけど。あたしは今泣いてるけれど。あたしが泣いてたって意味は無い。だって現実はそういうものだから。あたしの涙に意味なんて無い。だから感情なんて無い。
理由を知ったって知らなくたって話したって話さなくたって現実はまるでカンペンの中に入れた消しゴムみたいに後を残してくっついてもうそこから離れないから、あたしは別に何も待ってない。カンペンは消しゴムで一杯だし、消しゴムはずっと付いてる。あたしは何にもしなくて良い。現実はそういうもん。
現実に置いてけぼりにされて座っているから言ったって言わなくたって現実なんて変わらないし、別にもう何でも良い。座ってるだけで、進む進む進む進む進む進む進む進む現実はそんなもん。感情なんて消しゴムのカスにもならない。
もういい。もういい。かんがえたくないしかんがえるひつようもないしもうなんでもいいししゃべったってしゃべらなくたってもうなんでもいいしあたしはもうどうでもいいしすわってればいいしいいのいいのいいのいいの。いいのかってにうごいているのをかってにすわってみるだけだからいいのべつにいいのべつに。なにもしないでなにもいわないでいればいいからいいのだからべつにかまわないしすきにしてくれていいしあたしはそれがそうだとおもってそのままふつうにいきていきをするからいきをするからいいのいいのだからいいのもうかんがえないでいいからかんがえたくないからもういいからもういいからもうだまされてしんでしまっていいからなんでもいいからどうしてもどうしてもどうしてももうもうもうもうもういい。
さくま