嫌いな食べ物「キュウリ」
最初に見た泣き顔は多分ママのだった。
それからお姉ちゃん。
まだパパの泣き顔はまだ見たことも無い。
それからクラスメイトの泣き顔を見て、
最近は恋人の泣き顔ばっかり見ている。
私の泣き顔は見たことも無い。
ごめんね、と言ったものもあるし、
何で泣くの、と言ったものもある。
でもこればっかりは、何も言えないんだよ。
そろそろ死ぬよ。
地球が沈んでしまうんだ。
そろそろ消えるよ。
何も無いんだ。
泣いて、泣いて、泣き顔を沢山見た。
でも私が泣くのはまだ見たことも無いね。
世界が崩れて、崩れてしまうんだよ。
だからもう、どんなに泣いても駄目なんだ。
世界が消えるよ。
いなくなるよ。
もう、あんまり実感が無い。
生きてるって泣くことだね、と私は言ったらしい。
そして、パパは泣いたんだそうだ。
四歳の冬だった。
記憶が無いよ。
さくま