こしおれ文々(吉田ぶんしょう)
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2004年08月10日(火) |
サイエンス・フィクション【春子(ハルコ)】 第2話 春子(ハルコ) |
第2話 春子(ハルコ)
私の名前ではない。
っていうか、私たちの間では人を表す言葉じゃない。
【体を売ること】。それが【春子(ハルコ)】。
特に意味はないんだけど、 【売春】とか【援助交際】って言葉が嫌いだから、 【売春】の【春】をとって付けただけ。
あとは・・・、高校の時、同じクラスに【春子】って むかつく優等生がいたから。
【特別な力】ってのは、 私と寝た男の【運命】が見えること。
しかも、その特技に気づいてから今日まで、 その【運命】が外れたことがない。
ただ、予言って言うほど高貴なものじゃないし、 みんなに知れ渡って 下手に騒がれると正直迷惑。
私のこの話を 『ハリーポッター』みたいに壮大なものにしたくないし。
どうでもいいけど、あの映画、 みんなが言うほど面白くもないよね?
私が見えるその人の運命は、 私の眼球の裏側に映画のスクリーンのように映し出される。
【命が危険にさらされると、 今までの思い出が走馬燈のように流れる】 って言うけど、 感覚的にはあんな感じだと思う。
さっき、この特技に気づいてから今日まで外したことないって 言ったけど、それは本当で、 事故によってケガするとか、 仕事が成功して大金持ちになるとか、 その具体的な要因はさすがに言い切れないけど、 結果に関しては、外したことがない。
逆に言えば、逆らうことだって出来ない。 【借金を背負う姿】が見えてしまえば、 何らかの形でその人は、必ず借金を背負うことになる。
だから、もし【ケガをする姿】が見えたときは、 【ケガをしないように気を付けること】 をアドバイスするんじゃなくて、 あらかじめ保険をかけておくとかみたいに、 【ケガをしても良いように準備すること】とアドバイスしてる。
結局・・・、運命は変えられないから・・・。
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