こしおれ文々(吉田ぶんしょう)
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| 2004年08月20日(金) |
サイエンス・フィクション【春子(ハルコ)】 第12話 【運命】の開示�� |
第12話 【運命】の開示��
深い海の底へ 私は落ちていった。
そこには何もない。
純粋な黒色が広がっているだけ。
押し寄せる波 鼓膜に届く潮騒。
寄せては返す一定のリズムに、 私はただ身を任せた。
【春子】でもない、 【運命を知るための契約】でもない。
金を取るため、欲望を満たすための【行為】ではなかった。
初めて、私は私利私欲以外で、 男性に抱かれた。
私の人生の中で、 一番幸せな瞬間だった。
その暗闇は、果てしなく深い。 吸い込まれるように もう二度と這い上がれないぐらい 私の意識は落ちていった。
このまま死んでしまうんじゃないかと 思った瞬間、 遠くの方に一筋の光が見えた。
その光は、 猛スピードで私に向かってくる。
よけたくても、 体が言うこと聞かない。
『・・・ぶつかる!?』
光は私の心臓の辺りをを突き破り、 背中を抜け、 また遠くの方へ消えていった。
ぶつかった瞬間、 私の眼球の裏側にたくさんの情景が映し出された。
映画を早送りで見ているような感覚。
『これが・・・、彼の【運命】・・・!?』
深い海の底から、 一気に現実の世界へ引き戻された。
目の前には、彼がいる。
そして、 目の前にいるこの人間が、 これからどうなっていくかを知ってしまった。
変えることが出来ない【運命】・・・。
感情の渦に飲み込まれ、 吐き気にいた感覚で、 涙として溢れ出た。
嬉しくて泣いているのか・・・、 悲しくて泣いているのか・・・、
そのどちらなのか、 私にも理解できない。
彼の顔が、 彼の優しい表情が、 涙で歪んで見える。
私は彼の口唇にキスをして、 耳元でささやいた。
『その優しい笑顔で、あなたは私を殺すんだね』
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