こしおれ文々(吉田ぶんしょう)
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2005年07月12日(火) |
虚構【燃やしたいゴミ】ケース2 矛盾(ムジュン) |
吉田虚構【燃やしたいゴミ】 ケース2 矛盾(ムジュン)
ある日女子高生がケータイをいじりながら 望燃性廃棄物処分センターを訪れた。
申請用紙に必要事項を記入すると、 受付の女性に女子高生は言った。
『昨日バイトの先輩にコクったら 彼女いるからダメって断られたの。 私っていままで生きてきてフラれたことないから なんか傷モノになったみたいですごくイヤなわけ。 だから先輩にコクったことなかったことにしたいんだけど。』
すると受付の女性は言った。
『過去の行為の変更もしくは取り消しは、 こちらで発行した承諾書に ご本人様と、 その行為に関わった全ての方から 署名、捺印による承諾をいただく必要があります。 全ての方に承諾していただき、 再度センターの方に来て、提出していただければ 2週間程度で変更・取り消しの認定をいたします。 今回のケースは 相手方お一人の承諾だけで済みますし、 こちらの取り消し認定もその分時間的に短縮されると思います。』
そのとき女子高生のケータイが鳴り、 女子高生は通話ボタンを押すと小声で話した。 『あ、ごめん。 いまボーネンナントカセンターに来ててさあ、 うん。昨日先輩にフラれたからさあ、 ナシにしようと思って。 うん。またかけ直すね うん。ごめんね バイバーイ。』
受付の女性は電話が終わるのを確認し 女子高生に言った。
『変更等の認定は関わった方 全ての了承が必要となります。 つまりその行為を知っている方も含まれます。 いま電話で【取り消しの手続きをしてる】と 伝えてしまったので、電話の相手の方からも 署名・捺印をいただく形になります。 くれぐれもご注意下さい。』
『へぇそうなんだ。』
女子高生は書類を受け取ると、 処分センターを後にした。
数日後、女子高生は先輩から 署名、捺印をもらうため待ち合わせをした。
そこで女子高生は先輩に、 承諾する代わりにホテルに強要される。
最初は必死で拒んでいた女子高生だが、 先輩に 『また承諾書つくって ナントカセンターに持っていけば なかったことになるんでしょ また名前書いてハンコ押してあげるから』 と言われ、 納得し、結局先輩と関係を持ってしまう。
次の承諾を得るとき、 またホテルに連れていかれることを このとき女子高生は全く気付いていない。
・・・1年後。
あの女子高生は望燃性廃棄物処分センターを訪れる。
お腹の中にいる先輩との子どもを、 望燃性廃棄物として処分するために。
受付の女性は言った。
『そのお相手との性交渉は 行為の取り消しとして認定されていますね つまり、 【性交渉という事実がないのに、二人の間に子どもができた】 という矛盾が生じております。 こういった場合、 お腹の中の子どもに 生まれてくる資格は与えられませんので、 妊娠の事実及びお腹の子どもは 望燃性廃棄物として処分させていただきます。 事実の取り消しのための堕胎ですので、 当然、医療保険は適用されません。 ご了承ください。』
ケース2 〜終了〜
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