私的正論。

2002年08月11日(日) 他人のための身体。

乗り物に弱い家人が珍しく、ドライブに行こうと言うんで。
小僧の必需品やらアレコレ身支度してて、ふと見ると顔が悲しい。

どうしたと聞くと、ヒトコト、太った。

お出かけと疎遠だった桜木家。
その責任の一端は、こっちにも有る。

そこで話をした。いろんな話。






借りてる駐車場まで歩きすがら。
こういう時もいちいち人目が気になる、と言うた家人に。

他人のための身体になってんナァと、思いを漏らす。

自分のために、生まれてきてヨ。
他人のために、どれだけのことした?



親を喜ばすために歌ってみせ。
たまに会う祖父母のために賢いフリした。

クラスメイトに嫌われまいと風邪ひきの頭を毎朝シャンプーしたか。

おかげで、ますます熱出して。
それでも努力に見合うもんを手にしてる自分と。
満足したか。





小僧は、ママのことをデブなんて言わねェよ。
むしろいつだって、ままだいすき、言う。

小僧が時折ふっくらした風に感じると、家人は小僧の頬を手で包み。
あらー。まんまるになって来たねえと笑う。
笑いながら言う。顔をしかめては、言わねェさ。

てめえの息子に、身体も自由にならねーほど太っちゃ欲しくねェのが親心。

けど。
他人の身体をデブだのガリだの揶揄する思いの方が、ずっと醜いとヨ。

わかってる心が、それでも余計な脂肪に悲しむキモチだ。





てめえがてめえに抱いてるイメージちゅうもん。

棒みてーな脚と、カリッとした鎖骨。
そういうもんに忠実であろうとする人は良い。

けど。

最初、てめえに不安があって。

そいつを名前も知らねー他人の「許可」みてェな曖昧なもんで埋めようっちゅう。

そういうのはやめてくれな。




その不安を考えようナ。先に。






亭主のための身体とも思わねェ。

そいつは自分のための身体。



ただわかってるのは。誰より何より愛されてる身体。

おかしなもん飲んだり。
おかしなもんつけたり。

ぎゅうぎゅう締め付けて苦しめたりしてくれるな。





なに。身体がちっと、ゆるんだくらい。
ココロが邪悪にゆるむのよりか、ずっと良い。

キレイでカッコ良くてスタイリッシュ。
そんな単語。

ゴミ捨て場の雑誌の束ン中にもようさん有るが。




そんだけ。





この亭主がヨメに求めるのはそんなこっちゃない。

案の定ノリモノ酔いして、チャイルドシートにもたれて寝込む顔。

ちっとくらい、まんまるになってもいいよ。



居て欲しいのは。

自分のために自分の中の「正」保つ、そういう心持つ大事な人。










と。ガラにも無ェこと書いてすまん。

さて皆さん良い盆休みを。
くれぐれも車の運転と、刃物の気配に御用心。ナ。

また会おう。









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桜木



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