*-* こころ *-*
もくじ|これまで|この後
Nobuと別れて実家に戻った 子供と一緒に
連れ合いから電話が入る 『今日は帰ってくるの?』
「帰らないよ、実家に泊まる」 「でも、明日には戻るから」
とだけ言って電話を切った
実家に戻り子供と別の部屋に布団を敷いて寝た
誰にも干渉されず触れられず眠りたかった
今までの分を取り戻すかのように寝つづける私
目が覚めたのは3時を過ぎてた 15時間以上寝てたらしい
一度家に戻って着替えや身の回りのものを 持ってこなくちゃいけないのに
身体が動かない
本当は家に帰りたくないだけなのかもしれないけれど
母親に言われ 6時過ぎに家に帰ると 連れ合いは頭痛がすると言って寝てた
どうやら今日も趣味の集まりに行ってたようで 熱射病のようだった
「ご飯食べに行く?」
いつものように話し掛け みんなで出かけた
私にしては珍しく 食事の後に子供達の好きなアイスクリームを食べようと提案した
喜ぶ子供達 父親と一生懸命話をする子供 手を繋ぐ子供
その姿を見ないようにしたかったのか 一番前を一人歩く私
家に着いて 子供達はそれぞれ私の実家に持っていくものの用意を始めた
まだ気が付かない連れ合いは 着くなりパソコンに電源を入れネットに繋ぐ
その父親にまとわり付く子供達
少し鬱陶しげにする父親
いつもの光景
子供が不意に聞く 「今日はおばあちゃんちにいくの?」
「行くよ。 だから早く用意してね」
振り向く連れ合い
『今日も泊まるの?』
「うん」
『いつまで?』
「夏休み一杯」
『学校は?』 「昨日から夏休みだよ」
それ以上は何も聞かなかった
とりあえずの着替えと身の回りのもの 学校の宿題だけをかばんに詰めた
「じゃ、行ってくるね」 「戸締りちゃんとしてね」
返事は返ってこない
争い事も 話し合いも 涙もなく
静かに始まった別々の生活
ここまで冷静に事を進める事の出来る自分に驚き
ここまで私は追い詰められていたのかと気づく
朝いつものようにNobuにモーニングコールをしたとき Nobuが聞く
『今日はどこで寝てたの?』
「実家だよ」
心なしか明るいNobuの声
気のせいかな?
会社の人には前から言ってあった 夏休みに入ったら実家に帰ろうと思ってること
今日(月曜日)会社に来て 『どうなったの?』って聞かれた
「あ、実家に泊まってるよ〜」
『本当にやっちゃったんだ』
「うん 今じゃなきゃ出来ないからね」
『連れ合いの食事とかは?』
「そんなの子供じゃないから自分で何とかなるでしょう?」
みんな同じ事聞くね 「連れ合いの食事は?」って
そんな事気にしてるうちは 家を出る事なんて出来ないのに
時間をかけて一つずつ断ち切ってきたよ
連れ合いに対しての情
妻としての仕事を放棄する事に対しての後ろめたさ
友達とのつきあい
趣味の集まり
全部全部私には大切な事だったから くいの無いようにしたかった
未練が無いわけではないけれど 友達も、趣味の集まりも 新しく作っていける
そう信じて 今は私という人間を大切にしてあげたいと思ってる
人形ではなく 人間として
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