ふつうっぽい日記
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2002年03月22日(金) 涙の訳。

昨日、主人の草野球チームの監督さんの結婚式披露宴と二次会に参加した。当初は、二次会だけの参加であったのだが、前日に行けない人が出たということで急遽私に招待の打診があったのだった。家計を預かる身として、すぐに「お祝の増額」が頭の中を走った。嬉しいことだが、現実は厳しく少し間を作ってしまった。すると、監督さん(新郎)は「お祝は一人分で構わないので、気楽にご飯食べる感覚で来てもらえたら嬉しい」と言われ、オッケーの返事をした。

監督さんからの連絡は夜9時半過ぎに自宅にかかってきたのだが、聞くと主人の携帯にかけて出なかったというのだ。つまり、このことは主人はその時は知らないのであり、なんとか主人にそのことを知らせたいと思った。出ないという携帯にしぶとく電話をする私。やはり、出なかった。呼出し音は鳴っているのに。次に携帯に「至急連絡せよ」とメールをした。すると、聞き覚えのある音が寝室の方からしてきた…。そう。主人は携帯を自宅に忘れていたのであった。なんということだろうか?私もそれまで気づかなかったのだ。その晩は、とくに遅く、最寄りの駅の最終を見逃し、一つ前の駅止りの最終電車で帰ってきた。もちろん、一駅だったがタクシーで帰ってきて!などとは言わず、ドキドキしながら、私は、迎えに行ったのだが。

さて、次の日。お隣の奥様にメークとセットを依頼しており、約束の時間に洗顔と着替えをして向かった。前日に靴や鞄の色や装飾品などを写真で見せていたので、スムースに準備は進んだ。「今日は泣くような感じ?マスカラはどうする?」と言われ、そんなに泣くことはないだろう!と思っていた。が、結果として私は涙を流してしまうのだった。「大丈夫だと思うよ〜」なんて言って、軽くマスカラもつけてもらった。

会場には電車で一駅揺られて、タクシーで行った。小雨がパラつきそうだったのと、風がとくに強く「セットが乱れるし」なんて言いつつ、正直、履き慣れないパンプスで2キロほどの道のりを歩く気はなかったのだ。タクシーを捕まえるのに少々手こずり、また、道も程よく渋滞していて、なんとか「ワンメーター」で行けて、余裕で受付に間に合った。午後3時15分定刻、披露宴は始まった。壮大な音楽に合わせて、打ち掛け姿の新婦と紋付袴姿の新婦がやや緊張気味で入場。忘れず持参したデジカメで早速撮影。だいたい、流れというのは決まっていて、自分達も経験したことでもあるし、「次は〜だね」なんて主人と言っていたのだが、予想外にその打ち掛け姿でいきなりウェディングケーキ入刀ときた。「ナニィ!」と報道陣は慌てて新郎新婦の前に近寄る。私は小柄なほうなので、ネズミのようにチョロリと動きベストポジションをゲットした。しかし。予想以上にドライアイス(スモーク)がもくもくと上がり、動揺する報道陣。3、4枚撮ってなんとか1枚使えそうなのがあった。私は草野球チームのHP作成事務(自称)もやっているのだ。今回かさ張るデジカメを持って行ったのもそのネタのためといえる。

ケーキ入刀後は、思った通りの流れで進み、次のお色直しでは洋装(ウェディングドレス)で再入場。その間、歓談しつつ料理を堪能したのは言う間でもなく。入場とともに、キャンドルサービスが始まった。私達の時はウェディングドレスでケーキ入刀で、最後カクテルドレスに着替え、キャンドルサービスをやったのだが。メインキャンドルに火が灯されると、意外や意外、大量のシャボン玉が二人を包んだのだった。もちろん写真にもちゃんとおさめてある。そして、友人等のスピーチやカラオケなどがあり、落ち着いた頃合に新郎からの挨拶。そして。新婦の家族への感謝の手紙が朗読される。司会者の代読ではなく、新婦本人の声で。たいがい、本人が読むと、観衆はぐっと来ちゃうものなのであるが。今回は、かなりぐっときた。それは、

新婦の母親が10ヶ月前に病気だと思われるが、亡くなっていたのだ。言われてみれば、その母親の位牌を新婦の妹さんが持っていた。母親が危ないという知らせを受けた時の妹、弟、父親への気持ちなどを素直に言葉にしてあり、そこで、もう、ぐっと来るしかなかったのだ。主人も後ろ姿を見る限り、涙を流していたと思う。私はどちらかというと、このような席では「我慢しようしよう」というのが働くのだが…カメラのシャッターを切りながら両目から大粒の涙が出っ放しだった。落ち着かせるために、写真を撮りまくっていたと思う。上手く撮ろうなんて、考えず、自分の泣き顔をカメラで隠すように、そう動いたという感じだった。実際、後でプレビュー画面で新婦手紙朗読の画像を見ると、手ぶれもいいところで10枚以上そのシーンを撮っていた…ビデオカメラ係の弟さんも、妹さんも、父親も、親戚も70パーセントの人が涙していたと思う。一番印象的だったのが、「…お母さん、○○ちゃん(新婦)、お願いだから結婚式では娘による両親への感謝の手紙の朗読なんてせんどいてな。お母ちゃん、絶対、泣いてまうわ…って言ってたよね…お母さんのことだから、きっと今日、この場に来ているんでしょうね…」という言葉。

娘と親との絆、妹や弟の母親との別れの心模様、そして、長女としての冷静かつ素直な思いが自然に交差されていて、共感せずにいられなかった。新婦の父は、泣くのを我慢してはならないよ…と、妹が結婚する時がきたら私は自分の父親に言えたらなと思った。私は父に、自分の結婚式でわんわんと泣いてほしかったのかもしれない。


KAZU |MAIL