ふつうっぽい日記
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2002年03月25日(月) 「花嫁の手紙」の世界〜母の背中編〜

自分がどれくらい、成長したのか?我に返ってもなかなか分からない。一番温かく成長を見守ってくれるのは、親なのではないだろうか。

「ちょっと、お母さん!私って、何か成長したところってある?」って素直に聞けるものなら、聞きたい。でも、いきなりそんなことを聞くとハテナの顔になるし、やっぱり、素直になんか慌ててなれるもんでもないよ。でも、それよりも、失敗すると分かっていても、そっと見守ってくれた母の温かさに不器用でも気付く自分を大切にしたいって思う。

母は、私が生まれてきて、とびっきりの笑顔を降り注いでくれたはず。まだ、目が開くか開かないそんな私に。まだ、“あんよ”もできない私に。まだ、“ママ”と言えない私に。まだ、あなたを母親だと認識できてない純粋な私に。

赤ちゃんの道を通って生まれでてくる間に、無期限無制限の愛情のパスポートをもらったね、私。そのパスポートには、たしかに父の愛情のサインもちゃんとしてあって。サインをしたことを忘れないように、私のおでこには父の面影が、困った時に下がる、怒った時に上がる眉のあたりと、しっかりと大地を踏みしめる足は母の面影が。たしかに私は父と母のパーツを守って、生まれ、そして、今も生きてる。

自分に似た人間を前に、あなたはどう思いましたか?ちょっと照れくさかった?これぞ、宝って思った?

私が日々成長するにつれて、思い描く理想とは裏腹に、物静かで声も小さくて、「おとなしいお子さんです」ってよく言われていたね。私も、自分で分かってたんだよ。妹をわざといじめてお母さんの気をひこうとしたこともあったよ。そんなことをしても、お母さんに嫌われるって分かってたのに。お母さん、ごめんね。

お母さんが、自転車の練習を40才後半で始めたよね。夕方、お父さんがお母さんの首の後ろを支えてさ。その周りを妹と二人でキャッキャいって応援して。その時は自転車に乗れてあたりまえって思ってて、「お母さん、頑張ったね!」って言えなかった。今、思います。お母さんは頑張ってた。できないことを克服する姿に、今さらながら感動してます。そして、理想的な夫婦の姿も見たような気がするよ。それから少したって、自動車の免許も取ったよね。それをいいことに、学校まで送ってもらったり、酔っぱらった私を駅まで迎えにきてもらったり。渋滞で遅くなったのに、イライラしてお土産にって買ったドーナツをお母さんのいる前で箱ごと投げたこともあったね。「こんなことをしたら、いけん!」と泥のついたドーナツをお母さんは1個ずつ拾って家に持って帰ったね。私は、突っ立ってるだけで何もしなかった。その時のお母さんの背中がわなわなと震えているのも、分かってた。でも、家に帰っても特に叱らず、そっと見守ってくれたのは、お母さんで。

中学校の数学の宿題で、分からないところを一生懸命教えてくれた賢いお母さん。くじけそうになった時、お母さんの握ってたコアラの絵のついた鉛筆を握りしめてました。高校、大学の合格発表も「もう、ダメ…」という私に「大丈夫、大丈夫」と言って一緒についてきてくれたよね。何かあると、相談していつも返ってきてたお母さんの「大丈夫、大丈夫」って言葉。時にはひと事だと思って、軽く言ってるんだって決めつけてたこともありました。でも、短い言葉だったけど、その言葉に支えられて私は頑張ってこれたのだと思います。

結婚して、離れても私のお母さんはお母さんのままです。無理をせず、お父さんと仲良くね。私も、頑張ります。


KAZU |MAIL