ふつうっぽい日記
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「お前等の初舞台が決まった!君等2人にやってもらう!」 「なんでですか?どうしてですか?オレの方がダンスだって経験があるのに、なんでアイツ等なんですか?!」 「やったぞ!おい!舞台に立てるんだゾ!オレ達!」
そんな台詞を昨日観た舞台で聞いた。 別にそれがメインとかいう内容ではない。くやしがる経験豊富な団員、一方、得意げな2人の団員。その掛け合いは、実にコミカルだった。
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関西在住時代に同じ住宅に住んでいた奥さんから、「贔屓にしている俳優さんが福岡で芝居をするので行くことになりました。時間があれば、会いましょう」とメールが来たのは、半年くらい前の話。
1週間前、そういえば、と手帳を確認して「いよいよ来週ですね」とメールを送ったら「舞台、お面白いからオススメですよ!」と返事がきた。ネットでチケットが残っているか確認したら空いていたので、主催者に連絡をして席を確保。 その詳しい奥さんによれば、ネットやコンビニ受け取りサービスでもチケットは取れるけど、もしかしたら主催者はいい席を持っているかもしれないとのことでそうしたのだった。
チケットは当日、当日チケット売り場で現金と引き換えた。 開場の20分くらい前に会場近くに到着。 この会場での観劇は6月にも体験。その時は、ものすごい人、人、人。入場するのもすごい列だった。着くのが遅めだったからかもしれない。そして、でも、主役がテレビドラマでも活躍している青年(森○未来さん)だったことも関係あったかもしれない。
今回は、4列で入場整列して前から10列目に並べていたような感じだった。 いや、「入場整列しまーす」という前から、入り口付近に立てていた。 当日券窓口も列を作ることはないくらい余裕だった(予約が多かったのか?)
舞台のプログラムを着席前に購入。1600円(高め?)で、卒業アルバムみたいにしっかりしたタイプだ。ご贔屓がいる、という奥さんはもちろんファンクラブで手配したらしい前方の席。
6時半からの開演で、途中15分の休憩を取り、カーテンコールがあってホールから出たのは9時半を回っていた。 連れの奥さんは、「出待ち」へ。 「出待ち」は30分くらいかかる、と言われていて、できるだけダラダラとトイレに行ったり、ロビーの椅子に座ったり、友人にメールを送ったりして過ごしたが、「用の済まれた方は、出口に進んでください」と言われ、外へ出ることになった。外には椅子などなく、客待ちのタクシー、鬱蒼とした公園があるくらいで、まだ、人がいるからいいものの、これらの人がいなくなったら結構心細い環境。 出口にいる人等は、2人、3人くらいの固まりで10コくらいだった。 1人でボケ〜っと立っているのは私とあとスリッパを履いたオバちゃんくらいだった。 タクシーも一台、一台と客を乗せて消えていく。 照明も全部点いていたのが、1つとばしになり、やがて、ホール内の照明も薄暗くなった。 まだ、奥さん戻ってこないかしら… 不安はつのる。 10時を過ぎたくらいに、出口にいた2人単位のある1人が「今、出てきたって!」と叫んだ。 すると、私以外の2、30人が一斉に走り出した。 「え?え?」 私は追っかけではないけど、そっちの方へ行かないといけないような気もして、中途半端に私も彼らの進む方へ移動した。彼らは間違いなく、楽屋の裏口の出口みたいな方へ走って行ったが、私はその移動距離の半分くらいの場所で、無意味に時計を見たりしながら、迎えの車を待っているようなシチュエーションを強引に作り上げて奥さんの戻りを願った。 初めに待っていた、ホールの出口付近はタクシーが一台と、守衛さんの姿しかなく、そして誰もいなくなった…
ちょっとしてから、楽屋の裏口あたりから拍手が聞こえてきて、「お疲れさまでしたー」というような声がしてきた。 おそらく、出待ちの人等の声なのだろう。 それから5分くらいして、やっと、奥さんが「ごめんなさいねー」と言いながら無事戻ってきた。 奥さんは、ちょっとお疲れ気味だったが、輝いていた。 それから、私たちは居酒屋へ行き、1時間くらい語って、彼女は宿泊先へ、私は駅へと向かった。
「また、今度、福岡に来た時は、ヨロシクね!」と今朝、メールがきた。
こういう、いわゆる「ミーハー」な人、私はすごく憧れる。
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「君等の配役は…」 「配役は?」 「その…」 「なんですか?じらさないで言ってください!」 「馬だ…」 「馬って、あの…」 「顔は出ない…」 「何ですって?!」 「そうだ、君たちには馬の足をやってもらうことになった!」 「…!」
宝塚に男子部があったらしい、戦後設定のこの舞台は、いっちょまえに、電球が散りばめられた階段の上で羽根を背負ってシャンシャンを持ったオトコ達が華麗に踊り歌いして、そして、すがすがしく稽古場を去っていった。
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