ふつうっぽい日記
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2011年06月17日(金) 揺れる心に寄り添って

次々に興味関心が移り変わる行動の様を、A君は意識できているのだろうかという疑問をA君に直接ぶつけてみた。

疑問をなげかけるきっかけになったある場面を一つ。

怒りの感情が爆発して、椅子や机を蹴り倒すA君。
これまでの行動パターンでは、怒って感情を爆発させ、物を投げたり机を蹴ったり等目立つ行動をして、指導者にも当たり散らし、泣いて落ち着いていくという流れ。その後、しばらく安定して、落ち着いた活動が出来る、というものだった。

今回は泣いて落ち着いたかのように見えて、活動には繋がらず、第二波というのか、新たな一波というのか、消化しきれていなかった波が押し寄せてきた。

午前中の気になるA君の言葉としては「お兄ちゃんなんか死んでしまえばいい。お兄ちゃんのせいでお母さんがまた怒るようになった」。
奇しくも、平和授業の後だった。

第一波は指導者が引き受けた。
思いがけない第二波は、私への挑発という表出。

A君が机を押そうとしたので手伝った。
望ましくない行動の手助けである。
A君にも危険が迫る。
故意にそう私は仕掛けたのである。

A君はさらなる怒りを向けた。
「ボクが死んだらどうするんだ!
どうせボクなんか死ねばいいんだ!
生まれて来なければよかった!」
嗚咽に近い泣きである。

私はA君を抱きしめた。
とにかく私はA君の背中をさすりながら抱きしめ続けた。
「お母さんだってA君のことが好きなんだよ。
死ねばいい人間なんて誰もいないんだよ。
A君が生まれてきてくれてよかったんだよ。」
私は泣きそうだった。

そして、蹴って転げた机を一緒に起こした。
その机は脚が長くなる仕組みで、A君は「先生のための机を作る」と言って、目一杯脚を長くした。この思いつきに関しては、私は純粋に嬉しかったので賛成した。

しかし、興味関心が激しく移り変わるA君。
「この机、船にして遊ぼうかな〜」と言ってきた。
さらに、高いところに上ったり、高い机になってしまった状態におさまる椅子がないために別の机を椅子にしようとして机に腰掛けようとしたりするなど、多動はエスカレート。


そこで、「君は知っているかい?次々にいろんなことをやっているんだよ?
ふざけているとしか見えないんだよ。自分でそのことが分かっているかい?」

A君は言った。
「そんなの分かりたくない!」

個性や人格を自分で壊しているかのような、分解しているような印象を受けた。
穏やかなパニックとも言えそうだった。
誰かを傷つけたり、自分を傷つけたり、物を破壊するということではなく、自分の行動そのものを継続させず、バラバラにすることでパニックのメッセージを送っているようにも思えた。


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A君に寄り添った方の貴重な情報を思いがけず得ることができた。
その情報は切なくもあった。
それは今はここでは繋げて綴ることはできない。

A君と私が関わることになったこと、出逢ったことは、私にとって大きな意味があること、私のこれからの人生を占めていくかもしれない、突き進むべき道と太く繋がっていると思えてならない。

去年、自分自身の心と身体のバランスを崩しながらも、後方支援をしたいと支援参加手続きをしたNPO団体。その目指すべき環境、社会の仕組みこそが、A君にとって必要な支援の形であるように思った。


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人生の目標。
学習の目標が具体的に見えてきた今日という日。
A君との出逢いなくしてはなかった。



KAZU |MAIL