ふつうっぽい日記
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2012年02月02日(木) |
「救済されたい」「救済したい」 |
昨日、久々に平日の飲み会が実施。 少しだけ、夕食の準備に着手していたけれど参加。 参加人数2名という小規模である。
仕切りのあるテーブル席。 入り口で靴を脱いで収納するタイプの居酒屋。
仕切りの向こう側の男性の声がちょいと大きめで、意識をずらそうと思っても聞き耳を立ててしまうのが厄介だった。 連れも同じだった様子で、何度か振り返って、「その面」を見たい衝動が伝わる。
私の方からは茶髪女子2名がちらちらと見えた。 20代と思われた。 男性は40代くらいだと思われた。
男性は離婚歴があり、再婚もしていた。 これは、私の敏感耳からの情報を繋げた結果による。
「今日はね、嫁さんには、取引先の人と飲んでくるから、ご飯いらないからね〜って言ってきた。嫁さんも、うん、分かったよ〜って。そんなもんだよ」
それに対して、茶髪女子2名は「へぇ〜」と声高々に言っていた。
離婚歴を語る場面では、 「……相手がどんなヤツかと思ったら、これがまたたいしたことないヤツ。これが芸能人みたいないけているヤツやったら、仕方がないかなって思えるけど、何が悔しいって、こんなヤツに……。子どもはどうするんだって言ったんだけど、それは、そんな母親の元に子どもを置いておけないからで、子どもを連れて行くって言うなら絶対それは許さないって言いたかったし。で、何て言ったと思う?子どもは置いていくって言う。ヤツとの関係を続けるには、子どもが邪魔みたいな言い方をする……」
それに対して、茶髪女子2名は「へぇ〜」と声高々に言っていた。
ほろ酔いの私は面白く分析して、勝手に物語を作りたくなった。
前の奥さんの浮気は、ご主人のこのような行動(「取引先の人と飲んでくるから」と言って、女性と食事をする的な)が関連しているのだろうと。 奥さんは満たされたいのである。ご主人も同じく満たされたいという思いが交わって安定した家庭が構築されるのだとすれば、奥さんは満たされない思いを抱え、ご主人は外で満たされているゆえに「満たされたい」という思いは発動されない。 離婚話を語る場面では、いかにもご主人側が救済されるべき存在である「可哀想な僕」を訴えている。その「可哀想な僕」を、聴き手によっては、救済したくなるのかもしれない。話し手もそれを期待しているのかもしれない。
「救済されたい」「救済したい」 どちらも一人の人間に共存しているプロセスだと思う。 それが、どちらかに偏りっぱなしになる時期というのもあるのだと思う。 この二つに共通して支えているのは、「そう思わずには、満たされない」。 そして、次から次に救済してくれる相手を、救済すべき相手を求めることを続ける。
「救済されたい」人が「救済したい」へ、「救済したい」人が「救済されたい」へ移るとき、「こんな私でも誰かを支えることができる」「こんな私でも誰かに支えられているんだ」と気づいた時、視界が開けるのだと思う。
まぁ、よそさまの会話の一部分を聞き取り、勝手に話を繋ごうとするという、余計なお世話的なものだけれど、時にこういうことは勝手に繋いだ作業を実行した人間(つまり、「私」)の考えを投影する一つの記録になるのかもしれない。
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