水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2001年12月01日(土) |
鈴木光司著『キー・ウェスト』 |
昨日の『乱れる呼吸』は息苦しくなるような物語でした。 場所は集中治療室という、一種の密室みたいなところでしたし。 打って変わって、今日の物語は、同じく鈴木光司さんの短編集『生と死の幻想』 から『キー・ウェスト』・・なんて開放的な響き♪集中治療室のあとだけに この言葉だけで、心が弾みだすようです。
キー・ウェストは、アメリカ本土から最南端の島です。 フロリダ半島の南端からメキシコ湾へと連なる珊瑚礁の小さな島々。 海の上を走るハイウェイ、「セブンマイルブリッジ」はその名の通り全長 7 マイル、約 11 Km。キー・ウェストを愛したヘミングウェイの家もあります。
コバルトブルーの海、ぬけるようなブルースカイ・・ あ〜行ってみたいーー!!キー・ウェスト!セブンマイルブリッジをドライブ したいです〜ラジオから流れる陽気なリズム・・うるわしのキー・ウェスト!
あ、そこで、物語なんですが、← 突然クールダウン 笑 娘と旅行中の渥美達郎は43歳。4年前に交通事故で妻と3歳の長男を亡くして います。フロリダ半島をドライブ中に、小島を見つけた達郎は何かに引き寄せ られるかのように、小島に泳いでいくのです。
車に12歳の娘を残したまま!外国で、英語も十分に話せない娘をひとりにする なんて!とんでもないお父さんです!!それなりの理由もないのにっ!!
小島に泳ぎ着いた達郎は密林を覗いたり、かつての集落あとを歩いたり・・
だんだん冒険小説のテイストに。ここだけを読んだら、誰が書いた小説か わからないなぁ・・と思った頃に、
「・・・海底から伸びる海へびを見て、彼は直感的に DNA を思い浮かべた」 やはり、鈴木光司さん、二本の絡まり合う黒いへびに遺伝子の本体である DNA の二重螺旋をもってくるあたり、DNA に特別な思い入れを感じます。
そして、達郎は娘が待つ場所に戻ろうと泳いでいたとき・・
この物語は、好き嫌いが分かれそうです。 わたしは、あまり好きにはなれないです。バスターミナルで行方不明になった スーツケースが示唆する意図はわかるのですが・・ 娘を残したまま、トランクス一枚になって泳いでいくお父さんなんて、
キライですーーーーー!!!!!!
鈴木光司著『生と死の幻想』(幻冬舎文庫)収録の『キー・ウェスト』は 35ページ。愛していた妻を亡くした男の哀愁にふれそうになったあと身勝手な 父親に激怒した10分。 お父さん、知らない国で娘をひとりにしないでっ!←怒って読み終えるのは珍しい
『キー・ウェスト』= 明るい物語と思い込んではいけない・・
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