水野の図書室
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2001年12月26日(水) 山本文緒著『おひさまのブランケット』

昨日の唯川恵さんは、'84年に『海色の午後』でコバルトノベル大賞を受賞し、
デビューしたのですが、'87年に『プレミアム・プールの日々』がコバルトノベル
大賞佳作となり、デビューしたのが、山本文緒さんです。

山本文緒さんは'92年に少女小説から一般文芸に移行し、'99年のベストセラー
『恋愛中毒』で吉川英治文学新人賞、そして2001年の今年、『プラナリア』で
直木賞を受賞されました。

今日の『おひさまのブランケット』は、集英社文庫で読みましたが、これは
'90年の作品ですから、コバルト文庫の復刻版です。

あとがきで、山本さんは、野球を見るのが好きで、高校野球もプロ野球もどっち
も同じように好きだ、というようなことをおっしゃっています。
なるほどー。どおりで、物語の最初と最後は野球場です。
作者の好きな世界を描いているので、スルスルとなめらかに読んでいけます。
山本さんが楽しそうに書いている様子まで見えるように。

野々子と周太郎は高校三年生。幼なじみでお互いになくてはならない存在です。
周太郎は野球部でキャッチャーです。念願の甲子園出場を果たしますが、一回戦
で負けてしまい・・

甲子園に出るということは、選手たちの環境をがらりと変えてしまいます。
全国から届くファンレターやプレゼント、学校には毎日他校の女の子が告白に
やってくる・・って、大変ですね〜なんとなく想像できますが・・。

まじめな優等生タイプのピッチャー、咲坂君は、迷惑なんだ!!と女の子たちに
怒鳴ってしまいますが、お気楽な周太郎はファンレターやプレゼントを野々子に
うれしそうに見せに来るあたり、ほほえましいですね。

そして、プロ入りした周太郎と咲坂君。野々子は周太郎を追って上京し、予備校
に。そこに、周太郎に好意をもつ女子高生、美衣子が現れ・・・

おひさまのブランケット(毛布)・・それは、野々子が子供の頃をなつかしむ時の
景色です。おひさまの下で、男も女も意識することなく、一緒に遊んだ日々には
戻れない・・そして、何があっても好きな人を柔らかく包むブランケットで
いたいという気持ちでもあるのです。

野々子と美衣子の間に生まれる友情が、とても気持ち良く描かれています。
周太郎と咲坂君にはハラハラさせられっぱなし・・。

山本文緒著『おひさまのブランケット』(集英社文庫)は189ページ。
ビバ!高校野球!ビバ!青春!の50分。
「おひさまのブランケット」・・心に残る暖かい言葉です。

この本には、『プレミアム・プールの日々』が収録してあります!
大賞ではなかったので、雑誌にも掲載されなかった作品です。
で、明日は『プレミアム・プールの日々』を、とパラパラ見たら、面白そうー♪
寝る前に読んじゃお〜

じゃ、また明日!






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