水野の図書室
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2001年12月27日(木) 山本文緒著『プレミアム・プールの日々』

昨夜、寝る前に一気に読みました。
山本文緒さんの『プレミアム・プールの日々』。'87年下期のコバルトノベル大賞
の佳作となった作品です。(コバルトノベル大賞は'96年よりノベル大賞に改称)

14年前の作品ですが、今、ネット小説を読んでいるような感覚でした。
文中の「サザン」も「郷ひろみ」も「デニーズ」も健在だからですね。作品に
ハヤリものを入れるのは、10年後、20年後を考えると危険ですが、そんなこと
ちっともかまわないよ〜というサッパリとした流れ、そして文章はとてもイキイキ
としています。

物語は、高校三年生の僕のひと夏の思い出です。
市営公園の中にある小さなプールで監視員のバイトをした夏。バイト仲間の
春夫、理恵、奈緒子との楽しく輝いていた日々。ひそかに好きな奈緒子が、妻子
ある男とつきあっていることを知って悩んだこと・・

作者の巻末エッセイがあるのですが(盛りだくさんな文庫です!これで495円♪)
この作品は、その頃つきあっていた人とケンカ別れをして、突然予定があいた
ゴールデンウィークと週末に生れて初めて書いたもので、今読むと下手すぎて
茫然自失だと・・。

確かに、昨日の『おひさまのブランケット』は10作目だけあって、(わお!
2年で10作!少女小説、恐るべし!)安定したリズムを刻みますが、(ひゃあ〜
えらそうなこと言って、山本文緒様、申し訳ありませーーん! 汗・・汗)
『プレミアム・プールの日々』の方が好きです。(おっ!山本さんご自身も
『プレミアム・プールの日々』に好感を持っている、と。)

読み終えて、まず、これを書いた人は(まぁ山本さんとわかってはいますが)
どんな人だろうと思いました。ほかの作品も読みたくなりました。
これが、『プレミアム・プールの日々』の魅力です。

山本文緒著『おひさまのブランケット』(集英社文庫)収録の『プレミアム・
プールの日々』は71ページ。作家志望の友人が書いたばかりの小説を読ませて
もらっているかのような23分。
奈緒子がとてもかわいいです。

監視員のバイト、きついけど、楽しいことも・・ぜひ、読んでみて下さい。

そして、山本文緒さんは、この作品から14年後の今年、直木賞作家に。















水野はるか |MAIL
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