水野の図書室
Diary目次過去を読む未来を読む
皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年01月07日(月) 有栖川有栖著『落とし穴』

ミステリ集が読みたくなって選んだのが、有栖川有栖(ありすがわ ありす)著
『ジュリエットの悲鳴』です。有栖川さんの作品には、ふたりのシリーズキャラ
クターの探偵がいますが、この短編集はまったくのノンシリーズ。
裏表紙には「有栖川有栖の魅力の全貌を伝える傑作ミステリ集!」と・・!

パラパラ見ると、タイトルにまず惹かれます。『裏切る眼』『夜汽車は走る』など
読みたくなるタイトルなんです。表題作の『ジュリエットの悲鳴』は、一番最後
・・・じゃあ、これは最後のお楽しみにして、と。
短編8作品、ショートショートが4作品・・12作品は魅力的ですね。全貌に近づける
かもしれません。

わくわくしながら、最初に読んだのが『落とし穴』。
これは、犯人側から犯罪を描いた、いわゆる倒叙ミステリです。

犯罪のきっかけはささいなことでね〜上着の取り違えです。
苗川が会社で取り違えた上着は、不仲な同僚、鬼頭の物だったのです。
上着に入れておいた自分の不正の証拠を握られた笛川は、完全犯罪を目論み、
巧くいくはずだったのですが・・・

タイトルの落とし穴が、ぱかっと・・

綿密な企てが、いとも簡単にくずれるプロセスはブラックユーモア的です。
以前、知人からこんなことを聞いたことがありました。
「人生には、昇り坂、下り坂、まさか! がある」と。
嬉しい まさかならいいですけど・・

有栖川有栖著『落とし穴』は『ジュリエットの悲鳴』(角川文庫)に収録。
27ページ。サラリーマンの悲哀を感じた9分。
笛川の不正が・・なんだか情けないんです。恋人の美雪が知ったら、泣きますね。








 


水野はるか |MAIL
Myエンピツ追加

My追加