水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2002年01月19日(土) |
坂東眞砂子著『白い過去』 |
『死国』、『狗神』(いぬがみ)などの土着伝奇ホラーのイメージが強い坂東 さんですが、この『白い過去』には、お遍路さんも言い伝えもでてきません。 なぜかホッとしながら読み進めました。
千春と陽治は、どこにでもいるような平凡な夫婦です。ある日、留守番電話に 入っていたメッセージが、千春の過去を連れてくるのですが・・・
なんだか切ないですね〜。 このメッセージ、活字で読んでも切ないのに、声で聞いたら・・と考えたら、 ・・・、・・・胸がつまります。
ラストは切なさの極みをなぞります。 坂東眞砂子著『白い過去』は『ゆがんだ闇』(角川ホラー文庫)に収録。 49ページ。千春の気持ちになれたような18分。 主人公の気持ちになれる小説って、ありそうでないんですよー。 こんな気持ちは久しぶり。。
坂東眞砂子さんは1958年生まれ。 '86年にエッセイ『ミラノの風とシニョリーナ イタリア紀行』でデビュー。 『クリーニング屋のお月さま』などの童話を発表後、'93年『死国』で ホラー界ヘ。'96年『山はは』で直木賞を受賞。
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