水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2002年02月04日(月) |
浅田次郎著『見知らぬ妻へ』 |
いよいよ、この短編集の表題作です。
新宿、歌舞伎町で客引きをする花田は、ある中国人女性を日本に滞在させるため 偽装結婚を頼まれ、きちんと考えもせずに婚姻届をだしてしまいます。形だけの 結婚のはずが、彼女を愛しはじめたときに・・。
偽装結婚・・悲しい響きです。ふたりの結婚は寂寥感から始まっています。 「接吻は不幸の味がした」・・この一行がふたりの関係を象徴しています。 言葉さえ通じ合えないふたりが、ひとつの毛布にくるまって作るジグソーパズル は、ふたりのはかなくあやうい関係を暗示しているようで印象的です。
浅田次郎著『見知らぬ妻へ』は『見知らぬ妻へ』(光文社文庫)の表題作。 43ページ。孤独なふたりを見つめた20分。 そして、孤独なのはふたりだけではないのです。
せつなさより・・これは・・悲しみ・・。
浅田次郎さんは1951年生まれ。 '95年に『地下鉄(メトロ)に乗って』で吉川英治文学新人賞受賞。 デビューは'91年『とられてたまるか』(学研) '97年に『鉄道員(ぽっぽや)』で直木賞受賞。
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