水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2002年02月06日(水) |
仁木悦子著『灰色の手袋』 |
兄妹コンビの仁木悦子と雄太郎が探偵役をつとめています。 雄太郎兄さん、素敵ですねー。優しいですよ。 雄太郎は植物学の学生なんですが、クリーニング屋さんに妹のトッパー(ジャンパ ーのことですよね、たぶん)を受け取りに行ってあげるんです。 ところが、店員のまちがいで雄太郎が持ち帰ったのは違うトッパー。憤慨した悦子 がクリーニング屋さんに行って、事件の第一発見者に・・・。
殺人事件なのですが、この兄妹探偵のおかげで全体に明るく、ドロドロしたもの は不思議に感じられません。雄太郎の、事件の関係者の気持ちを傷つけないように という気遣いには、ハッとさせられました。トリックは、ああなるほど、という もので、推理より、この雄太郎・悦子コンビに一目ぼれです。笑
トッパー、傷痍軍人、など時代背景が古いのは、この作品、初出誌は1958年の 「宝石」、短編集『粘土の土』に収録されたものなのです。昭和でいうと33年!! 舞台は昔でも、面白いですーーー!!!
仁木悦子著『灰色の手袋』は『秘密の手紙箱』(光文社文庫)に収録。 52ページ。こんなに明るいミステリは珍しいと感じた27分。 雄太郎みたいなお兄さんがほしいです〜♪
仁木悦子さんは1928年生まれ。 '59年に『猫は知っていた』で江戸川乱歩賞を受賞。 '86年、腎不全のため死去。 4歳で脊椎カリエスに罹って就学することなく、寝たきりの生活の中で多くの童話や 推理小説を書いたと知ると、胸を打つものがあります。
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