水野の図書室
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2002年02月08日(金) |
藤木靖子著『うすい壁』 |
昔の女の人は奥ゆかしいんですねー。 この作品、初出誌が昭和36年の「宝石」なので、この作品にでてくる人妻、信子 は昭和30年代の奥さんなのでしょう。夫に愛人ができても耐え忍び、気づかぬ ふりです。
夫の浮気に悩んで、幼い子供と無理心中した姉の真相を妹の圭子が探っていくの ですが、姉の命を奪ったものは、思いもよらぬものでした。
奥ゆかしさは、死んだ信子だけでなく、この作品全般を覆っています。 読者の想像を掻き立てる表現は、信子の哀しみの色を濃くしていきます。 そして、妹、圭子の哀しみをも。
藤木靖子著『うすい壁』は『秘密の手紙箱』(光文社文庫)に収録。 34ページ。ドキドキ・ドクンドクンの18分。お子ちゃまには刺激的。やん。 なんだか忘れられない小説になりそう・・。
藤木靖子さんは1933年生まれ。 '60年に『女と子供』が宝石賞に入選してデビュー。 推理短編、ジュニア小説を残して'90年に死去。 宝石賞は1960年〜64年にあった公募の短編推理小説賞で、現在はありません。
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