水野の図書室
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2002年02月13日(水) 若竹七海著『暗闇の猫はみんな黒猫』

短編集『秘密の手紙箱』の最後の作品です。
今まで読んだものは、なんとなく古めかしく、いかにも手紙箱という感じでした。
手紙箱というと本当に秘密めいていて、このタイトルは、巧いなぁーと感心します。

若竹さんは、大学時代、ミステリクラブにいらしたそうで、お話のすすめ方が、
洗練されている印象を受けました。相当、ミステリを読まれたのではないでしょ
うか。←だから、ミステリクラブだったんですってばぁ!笑

ミステリといっても、あっと驚くようなトリックがあるわけじゃありません。
密室も山荘も殺人もないけれど、これもミステリ。
三ヶ月前に起きた傷害事件。ぼくたちは、事件の関係者の証言を集めたビデオテ
ープを作ります。そのテープを見た生活指導の先生がぼくに言ったことは・・。

ウワサをもとにした証言だけのテープで真犯人がわかるでしょうか。
それは、正義の行使なのか、主観から作られたフィクションなのか。
怖いのは、事件そのものより、野次馬的まわりの人々の心に潜む悪意なのかも
しれません。

若竹七海著『暗闇の猫はみんな黒猫』は『秘密の手紙箱』(光文社文庫)に収録。
39ページ。ずんずん考えさせられた18分。
証言って、一歩間違うと恐ろしいものになりますねー。(怖いよぉ〜)


『秘密の手紙箱』を読み終えて・・『灰色の手袋』と『うすい壁』は特に
良かったです。随分昔の作品ですが、この短編集に入っているのは納得です。
面白い作品は、時代を超えて、読者の心をつかむのですねー。


明日からは、話題の『大密室』(新潮文庫、最新刊)を読もうかなと思います。
ミステリ界をリードする8人が、密室のトリックに挑みます。
最初は、有栖川有栖著『壺中庵(こちゅうあん)殺人事件』
ロジカルな謎解きに期待しましょう。


今日も読んでくださって、ありがとうございました。じゃ、また明日!




水野はるか |MAIL
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