水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年02月19日(火) 貫井徳郎著『ミハスの落日』

舞台は、スペインの小さな村、ミハス。
ジュアンがここへやって来たのは、大会社の会長、オルガスから、会ってほしい
と望まれてのことでした。白亜の邸宅で、オルガスがジュアンに話すのは、今は
亡きジュアンの母、アリーザへの詫びだと言うのですが・・。

密室のあり方が、この短編集の中では異質です。
密室ミステリというより、テーマは他に光を放っているようです。

なにげなく言った言葉が、その人に告げた最後の言葉になるかもしれません。
言いたくても言えなかったり、言うつもりでいた言葉と反対のことを言ってしま
ったり、言わなくてもいいことを言ったり、まったく、人間は、後悔するように
できているのかな、と思うことがあります。

オルガスがアリーザに言った言葉は、若さゆえと思うにはあまりにつらく、彼女
を思うと涙がこぼれそうです。

そして、オルガスの話す「神」の概念は興味深く、二度三度と、読んで欲しい
お話です。トリックは、少し物足りませんが・・。

貫井徳郎著『ミハスの落日』は『大密室』(新潮文庫)に収録。
54ページ。いろいろ考えさせられた28分。
冒頭を読んだときは、これほど深みのあるお話とは思いませんでした。
(単なる遺産相続のお話かと・・ 苦笑)



エッセイ『密室は遠きにありて思うもの』では、国内外の6作品が紹介されてい
ます。
!この作品がオススメなのねー、読んでみようかなぁ〜♪←い、いつ読むのぉ?

本を買うと、すぐに読むので、積んどく本はありませんが、読んでみよう本が頭
の中にぎっしり並んでいます。飽和状態なのですが・・読みたいですぅーー!

んー。なんとかせねばなりませぬ。
あれっ?・・この6作品を「すべて読んだら、間違いなく業を背負います」・・
はぁ、、背負うのねー重い十字架を〜、、って読んでから言いましょう。

じゃ、また明日!

追記:清水一行著『愛・軽井沢』では、スペインで秋川と景子が出会います。
   わたしの心に残るベスト1小説です。この話は、また別の機会に。






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