水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2002年03月22日(金) |
山川健一著『スピカと月』 |
一昨日、土星食を観ていた時、オリオン座が随分西に傾いてきたことに気づき ました。晩秋、東の地平線から姿を見せるオリオン座は、クリスマスの頃に 東から南東の空に動き、バレンタインデーの頃には南から南西に向かい、桜の 便りが聞こえる頃には西の空低いところで輝き、四月中旬には西の地平線に 隠れてしまいます。そして、オリオン座のリゲルが低くなる頃、東の空には、 おとめ座が昇り、白く輝くスピカが春を知らせます。
花便りのような、星便り。星はめぐり、季節はめぐり、時間は待ってくれません。 結婚が愛し合うふたりのベストの形と考えるなら、つづけていく自信がもてない とか思わずに、すぐに結婚した方がいいのではないでしょうか。曖昧な時間は、 愛に迷いを生じさせ、隣にある好意を愛と錯覚してしまいがちです。
『スピカと月』、甘くせつないお話です。 大学を卒業して離ればなれになった時、僕が愛した未希子は、他の男と結婚し、 子供を産み、そして離婚しました。久しぶりに未希子に会いに行った僕。 思い出の中でふたりは丘の上で車を止め、ソフトトップをはずしオープンにして、 後部座席に天体望遠鏡をセットして星空を眺めます。
モチーフは、ムーンライト・マイル。三日月と小さな星のニ連のペンダントです。 未希子の胸元に、このペンダントが良く似合います。と、文章だけで感じるのは ふたりの恋の物語が自然で、幸せになってほしいと思えるから。
なのに、なのに、ラストでがっくし。。 「おれは、待つよ」、、はあ? 待つよ!? 待たせないでよーーー!! 僕の方は、結婚してるの?うーん、そのへんのとこがわかりませんが、、 「結婚しよう」って、なぜ言えないのぉ〜!? 「おれが悪かった、取り返しの つかないことをした」の次が「待つよ」は、矛盾してますって!!
『贅沢な恋愛』(角川文庫)第五話『スピカと月』。 ラストページは読まなきゃ良かったような。はぁーーため息。
≪山川健一さま〜〜未希子は結婚したいと思いますぅ〜。≫
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