水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年03月25日(月) 山田詠美著『雨の化石』

泣いてしまいました。




きれいな文章です。

小説を読んで、泣きたくなることはあっても、実際、涙をこぼすことはあまり
ありません。昨年11月に「水野の図書室」を始めてから泣いたのは三度目です。
初めは『天帝妖狐』(乙一・集英社文庫・2001.11.25)次が『デジ・ボウイ』
(乃南アサ「家族趣味」収録・新潮文庫・2001.12.16)、そして、この
『雨の化石』です。

山田詠美さん、こんな透きとおった世界も描かれていたんですね。意外でした。
勝手にいだいていたイメージは、もっとアクがあるものだったので。


『雨の化石』には、雨の匂いがします。
雨やどりで偶然出会った人妻に恋をしてしまった青年の心が、途切れることなく
ガラス窓をつたう雨のしずくのように物語を紡いでいきます。

モチーフとなる宝石は・・これしかありません。読んでみてください。

『贅沢な恋愛』(角川文庫)最後のお話『雨の化石』、輝いています。





人はどうして恋をするんでしょう。

大地や草花に雨が必要なように、人は恋で潤うのかもしれません。


山田詠美著『雨の化石』

             ありがとう。





水野はるか |MAIL
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