水野の図書室
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皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。
2002年03月28日(木) |
北方謙三著『チーズに合うワイン』 |
ほろ苦さが口に広がるようです。 『贅沢な失恋』(角川文庫)第三話は『チーズに合うワイン』。 北方謙三氏、『贅沢な恋愛』(角川文庫)では『彼女の時』で、去って行った 女を想う中年男の哀愁を品良く描いていたのですが、この『贅沢な失恋』でも 主人公は若い恋人に去られた中年の男性です。むむ、、45歳です・・。 彼女は23歳。うーむ、パパと呼ばれて、倒錯的な気分ですかぁ〜?
ど、どうなんでしょう・・? こんなに歳が離れていて恋愛関係になれるの でしょうか・・? 歳は関係ないですか?
男は、レストランでひとりチーズを食べワインを飲みながら、自分から去った 女のことを考えます。強烈な失恋はできなくなったと自嘲するかのような男。 女と別れるのは、手間とエネルギーがいると考える男は、つきあっているとき から、彼女が自分から別れられる女になるように方向づけてきたような・・。
いつか別れると決めていた恋。失恋の苦さを楽しむかのような男。 なんだか、失恋するための恋のような・・。これも、恋なのでしょうか。
車を停めた時、レストランの扉を押す時、チーズを食べる時、男を満たすものは ほろ苦さ、そしてワインでほろ苦さを飲み干すのです。
失恋もハードボイルド、北方謙三氏。 一歩間違うと未練たらたらの中年男ですが、チーズの食べ方がカッコいいです。
明日は『やさしい言葉』。 舞台は札幌です。じゃ、また明日。
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