水野の図書室
Diary目次過去を読む未来を読む
皆さま体調に気を付けて今日も良い一日でありますように。


2002年04月05日(金) 北村薫著『植物採集』

昨日の『水に眠る』同様、同僚に密かな想いを寄せるOLが主人公です。
友達以上、恋人未満という関係はもどかしく、胸の奥がチリチリします。
考えてみると、異性の同僚って不思議な存在ですね。いっしょに過ごす時間が
家族より多く、家族も知らないヒミツを知っている事もあります。
まぁ、ヒミツと言っても、奥さまにヒミツの隠れ家的店があるとか、奥さまに
ヒミツの趣味の品物を通販で買って、お届け先をオフィスにしたりとかといった
程度のカワイイものですが。 笑

『植物採集』で、京子の視界には、いつも同僚の俊一がいます。
あぁ、京子は俊一が好きなんだなぁと痛いほどよくわかります。京子の孤独は
せつないですねー。ある日、俊一のネクタイが変わったことに気づく京子。
そうそう、好きだから気づくんです。そして、ネクタイを一目見て、プレゼント
だと第六感は働きます。そういう時、ショックなんですよね〜。特別な関係じゃ
ないのに、突然目の前に突きつけられた恋人の存在に、急にふさいだりして。。

京子は俊一のネクタイをどうすると思います? あ、こう書くと、ネクタイが
どうにかなると思うでしょ? そ、俊一のネクタイに危機が!

京子の想いが強すぎて、怖さを感じる人もいるかもしれません。

加納朋子氏、解説も加納ワールド。ほんわかします。
『植物採集』は『水に眠る』(文春文庫)の第三話。
鮮やかであり、寂しくもあり、せつなく春の夜は更けてゆきます。


明日は『くらげ』、解説は貫井徳郎氏。
怖いお話のようです。じゃ、また明日!





 


水野はるか |MAIL
Myエンピツ追加

My追加